リートを購入するときに、どのような視点で銘柄を選ぶかは、人それぞれだと思いますが、初めてリートを買う場合には、まず何を参考にすればよいかわからないと思います。
そのようなときは、他の人がどんな選び方をしているのかをまず聞いて、自分がいいなと思った方法に自分なりのやり方を少しずつ加えていくのが一番の近道です(リートとは? という方はコチラ。)
私自身、リーマンショックの2008年前からリート投資に参入し、途中、一部の資金を現物不動産に移しつつも現在までリート投資を続けてきました。
そして、いきなり結論を書くようですが、分配金であるインカムゲインを投資の基準に据えて、分配金、資産価値(NAV)をもとに運用物件の種類を意識した投資をしています。
では、なぜこの3つのポイントが重要だと考えているかをリート投資が初めての方向けとして、共有したいと思います。
まずはじめに、なぜインカムゲインを基準に考えているかを説明するね。
目次
リートの銘柄選びでは、何を基準に選ぶのか?
皆さんがリートに期待することは、何でしょうか。価格の値上がりを狙うキャピタルゲインですか? 分配金を得るインカムゲインでしょうか。
当サイトでは、貴方の狙いがキャピタルゲインでもインカムゲインであっても、リートの銘柄選びにおいては、やはりインカムゲインを基準に据えて考えていくべきだと思っています。
通常、インカムゲインが増えると、買い手が増え、投資口価格が上昇し、併せてキャピタルゲインが得られるからです。
それは、インカムゲインをベースに考えていけば、おのずとキャピタルゲインもついてくるという視点ですね。
一般的に、リートは、ミドルリスクミドルリターンの利回り商品と捉えられていますから、利回りが上昇すれば、その点に注目した買いが入ると考えます。
ということは、インカムゲインである分配金を安定的に支払い、さらには、中長期的に増やしていける銘柄を選べばよいことになりますね。
分配金を増やすには、どうすればいいのかな?
分配金が増える仕組み
では、分配金を増やすことのできる銘柄とはどのような銘柄でしょうか。
リートは、不動産投資信託と言われます。一般に不動産投資とは、マンションや土地を購入して、家賃を得ることを想像するかと思います。いわゆる現物の不動産を取り扱うものですね。
一方で、リートは、いわゆる紙の資産です。でも、わたしはリートも現物不動産投資の延長線にあり、要は、投資行動のどこまでを自分以外の人に委ねるのかということだと考えています。
その観点で書いた記事が以下です。
【リートの基本】小額からできる不動産投資、リート(REIT)を身近に感じる方法。
例えば、現物の不動産投資でも、物件の管理を自分で行う場合と管理会社に委託する場合がありますが、リートでは、さらに購入する物件の選定や融資付けをも委託するのです。
良いリート=良い不動産投資
現物の不動産投資で管理を委託する場合は、入居付けや修繕対応がうまくできる管理会社を選ぶことがポイントになります。
また、委託こそしませんが、どの物件をいつ購入するか、融資付けをどうするかといったことが重要で、結局のところ、不動産投資における肝は、良い不動産を安く買う、良い条件で融資を受けることに尽きます。
こうしたことは、リートの場合にあっても、何ら変わることのない要素ですから、これらを適切に進めていくことができる銘柄を選ぶことがポイントとなります。
しかしながら、こうした銘柄を見定めるのは、容易ではありません。
そこで、こうした視点をもとに、いくつかの指標を見ながら、その銘柄を見定めていくことをお勧めします。
これから3つのポイントを上げていくね。
①分配金や資産価値(NAV)などの指数
はじめに、最も簡単で目に見えて分かりやすい指標は分配金です。
収益の90%以上が分配金として支払われるリートにおいては、分配金は最重要となる指標です。
良い不動産、良い融資、良い管理がされていれば、おのずと分配金は安定的に提供でき、中長期的には増やしていけるようになるので、いわばテストの点数のようなものです。
まず、現在の分配金の確認は、お使いの証券会社のホームページに一覧があれば、よいですし、なければ、ポータルサイトのjapan-reitで確認しましょう。
見かけの分配金から本当の利回りを読み解く
分配金を見る上での注意点は、現在表示されている利回りが必ずしも、本当の利回りとは限らないということです。
今後、物件の取得により投資法人が成長すれば、将来の分配金利回りは上昇することがあります。
逆に、現在表示されている利回りが高いと思っても、その利回りには物件を売却するなどの一時的な分配金の増額も含まれていることがあるということです。
これだと思った銘柄については、個別の投資法人のホームページに行って、本当の利回りを調べてみましょう。
特に、掲載されている決算説明会資料を読んでみると、分配金が一時的に上下した場合、その理由も書いてありますので、確認をしてみる必要があります。
慣れないうちは、少し面倒かもしれませんが、当サイトのトップでは、好配当銘柄を中心に補正後の予想利回りを掲載していますので、ご参考ください。
分配金を見る観点
さて、次に分配金という指標をどのように見ていくかという観点です。
本当の利回りというさらに深い意味を考えたときに、それが継続的なものであるか、ということが重要な指標になります。
ここで見るべきは、分配金が将来に渡って安定的に支払われるか、さらに言えば、増えていくのかという点です。
仮に直近の決算期における本当の利回りが分かったとしても、それが一時的なものであったら、それは本当の利回りとは言えません。
その分配金の水準を一定継続することができて、はじめて本当の利回りと言えます。
こうしたことを見通すには、直近の金額を見るだけでは、足りません。過去の分配金の推移を確認することが大切です。
過去の分配金の推移を見ることで、その銘柄の安定度や成長度を推し量ることができます。できれば10期分、少なくとも3期分はさかのぼって確認しましょう。
もう少し詳しくという方は以下の記事をどうぞ。
・【銘柄の選び方】おすすめ銘柄の選び方コツ(コツコツ分配金)
・【リートの基本】Jリート(REIT)の収益から分配までの仕組み
ちょっとしたコツ
リートを主にインカムゲインを求める商品とした場合、分配金利回りは高くあってほしいはずですが、この利回りが高ければ良い投資法人というわけでもありません。
それは、優良物件を保有していたり、基盤がしっかりしているスポンサーが運用していることにより、よりリスクの低いとされる銘柄は、一般的に投資口が買われて、投資口価格が高くなり、利回りが低くなっている可能性が高いからです。
この観点からは、利回りが低い銘柄の方が良い銘柄ということになりますし、逆に、利回りが高い銘柄は、何らかのリスクを抱えている可能性があると、投資家からみられているということです。
しかしながら、利回りが低い銘柄ばかりを所有していては、投資効果は限られることになります。また、ときに市場も銘柄評価を誤ることもあるでしょう。
ちょっとしたコツをいうなら、現在利回りよりも将来利回りが高くなる銘柄に投資することが一つ、また、現在利回りが高くても、そのリスクが回避できると思われる銘柄に投資することが二つ目です。
現在の分配金利回りが何らかの理由で低くなっている銘柄であっても、その理由が解消されれば、分配金が上昇する場合がありますし、逆に、現在の利回りが高くても、リスクが回避されることを他の投資家よりも先に見通すことができれば、利回りが高いうちに投資することができます。
そのような銘柄は、リスクもありますが、うまく見通すことができれば、インカムゲインだけではなく、キャピタルゲインも狙っていける場合があります。
こうしたことは、直観ではなく、決算説明会資料や決算短信などから得られる客観的な見地から考えることが必要です。
分配金は、最も重要な指標だね。
【リートの選び方】忙しい人のためのリートの選び方一つこれだけ
資産価値(NAV)
さて、リートの銘柄選定に役立つ指標として、次に確認したいのは、NAV(Net Asset Value)です。
NAVは、投資法人が保有している不動産の資産価値をいいます。そのリートの保有している不動産の鑑定評価による価格です。
また、この資産価値と市場で取引されている市場価値(つまり投資口価格)を比較したものをNAV倍率といいます。
資産価値(NAV)>市場価値(投資口価格) 割安!
資産価値(NAV)<市場価値(投資口価格) 割高、、、
となるのは分かりますでしょうか。NAVは、割安な、市場から評価を低く受けている銘柄を探すときの一つの指標になるのです。
つまり、1口あたりの投資口価格を1口あたりのNAVで割ったNAV倍率が
1未満 割安かも
1以上 割高かも
となります。このことを覚えたうえで、このNAV倍率は、japan-reitで一覧できますので、ご参考ください。
http://www.japan-reit.com/ranking/all#navr
株式におけるPBR(株価純資産倍率)に似た指標です。
実際、NAV倍率が低いというだけで、イコール買い銘柄というわけではないのですが、分配金など他の指標と併せて確認します。
また、多くの投資関係者が参考にしている指標ですから、その意味では、参考にすべきかと思います。
なお、このNAV倍率の計算方法など、もっと詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
【リートの基本】リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
このように、利回りと資産価値を見て不動産投資を評価しようとするのは、リートだけではありません。
現物の不動産投資をされている方であればピンとくると思いますが、利回りを重視する投資法と資産価値を重視する投資法は、どちらも重要な視点です。
他にもまだ指標はあるけど、そういった数々の指標を併せてみていくのは、リート投資に慣れていった後でいいよ。
②運用物件の種類
ここまでは、分配金(利回り)とNAV(資産価値)といった指標を説明しましたが、次にリートが運用する物件の種類のお話をしたいと思います。
リートでは、銘柄ごとにどのような種類の物件を運用しているかが異なります。
例えば、オフィス・商業施設・物流施設・住居・ホテルといった種類別、また、ある種類に特化するのか、オフィスと住居を半々くらい運用というように総合的にするのかというように、様々です。
あと、関東地方の物件のみなのか、関東地方以外の地方の物件も運用するのかという違いもあります。
これらの違いは、その時々の景気の好し悪しや社会情勢などで、投資効果に影響を及ぼすものです。
例えば、景気のいい時は、オフィスや商業施設、ホテルがよく、景気の悪い時は、ディフェンシブとして住居がいいなどです。
大まかな傾向として、業績に有利だと言われているのは、以下のようです。
不景気 住居>物流施設=商業施設>オフィス>ホテル
好景気 ホテル>オフィス>物流施設=商業施設>住居
値動きの大きさも比較的ホテル系やオフィス系の銘柄は大きくなる傾向があります。
また、物販のネット取引が増えるといった流れの中で物流施設への投資が有利になるという流れもありました。
それぞれ種類ごとの指数などもありますので、チェックしてみるといいです。さらに詳しいことを知りたい方は以下の記事をどうぞ。
③リート指数
いかがでしたでしょうか。ここまで、初めてリートに投資する人向けに、リートの銘柄を選ぶ際に必要な考え方を紹介してきました。
最後に、東証リート指数の推移も常に追っておきましょう。全体が下がっているときには、いかに良い銘柄でもつられて下がるものです。
・東証REITオフィス指数リアルタイムグラフ
・東証REIT住宅指数リアルタイムグラフ
・東証REIT商業・物流等指数リアルタイムグラフ
そして、これは株式投資全般に言えることかもしれませんが、はじめのうちは、小額から買ってみて銘柄に関心を持つことです。ぜひいろいろと勉強してみましょう。
もっと投資信託の基礎から勉強したい! という方は、無料で参加できる投資信託入門講座も。
- 各銘柄の①指標として、まずは分配金利回りと資産価値(NAV倍率)を総覧してみましょう。
- 各銘柄の②運用物件の種類を確認しましょう。
- 銘柄に関心を持つために、③リート指数も見ながら、小額から購入してみるのも一手です。
リート投資で、どの証券会社を使うか?
リートの選び方が少し理解できたところで、以下の記事では、リート投資で使いやすい証券会社はSBI証券であるという理由を書いています。
また、2021.3 リートのページがパワーアップしたマネックス証券もオススメになりました。両証券会社ともに、リート専用のページが用意され、情報が充実しているからです。
なお、以下のポイントサイト経由の口座開設で、ポイント還元を得ることができますので、お勧めします。
SBI証券
入会特典1,000ポイント+口座開設15,000ポイント(16,000円相当)の収入が入ります。
マネックス証券
入会特典1,000ポイント+口座開設7,000ポイント(8,000円相当)の収入が入ります。
リート投資とクラウドファンディングを組み合わせる
リート投資では、元本の変動があります。このことは、利益の源泉であるとともに、損失の元にもなります。
一方で、元本の変動を予定しない投資が不動産クラウドファンディングです。
リート相場の状態に応じて、投資資金をリート投資と不動産クラウドファンディングに上手く振り分けていきましょう。
・リート投資と不動産クラウドファンディングの比較と使い分け
・【不動産クラウドファンディング】とは。~仕組みやシステム。利回りの比較~
投資法人の運用スタンス
さて、ここからはオマケというか、少し「初めての~」からははみ出しますので、余裕のある方や興味のある方だけ読み進んでください。
指標だけではなく、投資法人の運用姿勢なんかも確認しておくといいですよ、という話になります。
ちなみに、投資法人って何? という場合は、以下より簡単に確認ください。
実際、わたしの場合、投資法人が誠実な運用をする会社かどうか、という点を指標と同じくらい重視しています。
そんなのどうやってわかるの、と思うかもしれません。手掛かりになるのは、投資法人の過去のリリースやインターネット検索などです。
その際、最初に我々が気にしておきたいポイントがいくつかありますので、ご参考ください。
・決算説明会資料が読みやすく作成されているか
これが出来ていない投資法人は、投資家に説明をする気がそもそもありません。
・大規模増資などにより、分配金を平気で減少させる姿勢がないか
これはリートに投資する個人投資口主の期待するポイントを理解していないということなので、少なくとも個人投資家向けの銘柄ではありません。
・スポンサーの物件を押し込まれていることはないか
資産運用会社の大株主であるスポンサーの物件を高値で買わされていると、大規模増資した割には、たいして分配金が上がらないといったこともあります。
スポンサーの物件を投資法人が購入すること自体は、仕組み上よくあることですが、このことによって、ちゃんと分配金が投資家に還元されていることが大切です。
もちろん、上に掲げたこれらのことは、ちょっと投資法人のリリースを見ただけで、わかるわけでもありません。
例えば、その投資法人の投資口主になってみれば、興味をもって継続的にその投資法人の動きを追うことができるのではないでしょうか。
継続的にウォッチする中で、その法人の運営スタンスを判断していきましょう。
JリートファンやJリートフェアなどのリート各社の職員に直接会える機会も活用するといいかも。
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