Real Estate Investment Trust

Jリート(REIT)のデメリット(リスク)とメリット

Jリート(REIT)に投資するうえで、踏まえておくべきデメリット(リスク)とメリットを説明します。また、単純にメリットといっても、一般的に言われている内容をそのまま受け取るのではなく、別の見方をすると留意すべき点もありますので、併せて触れていきたいと思います。

特にリスクはよく理解したうえで、リートの投資を始めよう。

リート(REIT)のリスク

投資法人は破たんすることがある、実際に破たんしたことがあることをお伝えしなければなりません。

きっかけは、皆さんご存知のリーマンショック2008年ですね。10/9にニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)が東京地裁に民事再生法適用を申請するという事態が発生しています。

そもそもリートは、収益のほとんど全部が配当に回されることからも、内部留保に関する柔軟性が低い設計となっていました。つまり、不景気になるから、配当せずにお金を貯めておこうということが基本的にできない構造になっているのですね。

また、当時は、不動産価格が下落を続ける中、相対的に保有物件の資産額に対する有利子負債比率が上昇しており、金融機関から見ると、危険すぎて融資できないといった対象になっていたのです。

不審が不審を呼んだフシもあるわけですが、購入予定であった物件の資金を確保することができなくなったことにより、ニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)は、破たんしています。

また、以降、スポンサーに信用がない投資法人ほど、借入金の借り換えに苦慮し、中には、驚くほどの高金利で短期間の借り換えとなるなど、投資家にとっても神経をすり減らす展開となったのです。

このように、破綻まではいかないものの、普通の株式と同様に、投資口価格(株式でいう「株価」)が常に変動し、売却損失が発生するリスクが常にあることになります。

以下は、Jリートが始まった2001年9月から直近の2017年2月までの投資口価格の推移です。史上最高値から最低値までの差は、1900ポイント程度もあります。

chart21

リスクに対する逆の見方

始めから少し重すぎるリスクのように思えるかもしれません。しかし、逆の見方をすれば、1社しか破綻していないという見方もできるわけです。

リーマンショック時には、多くの上場企業が破綻しています。これは、リートだからといって例外ではなかったのですが、ニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)の破綻以降、国の様々な施策も用意され、結果的には、以降の破綻は防がれたのです。

国が助けてくれるのは、リートが国策だからともいえるね。

リート(REIT)に投資するメリット

では、こうしたリスクがありながらもリートに投資するメリットはなんでしょうか。一般社団法人投資信託協会に挙げられているメリットは、以下のとおりです。

メリット1: 少ない金額から購入できます
メリット2: 複数の不動産への分散投資が可能です
メリット3: 専門家により運用されます
メリット4: 換金性が高いです
メリット5: 収益がほとんど分配される仕組みです

これらを少し私的に解釈を付け加えてみます。

メリット1

2017年2月現在では、1口あたり10万円以下から投資できる銘柄から、60万円台の値がついている銘柄まで様々です。投資口価格が低いからよい、高いからよいということはありません。

また、ここでいう少ない金額から購入できますという言いぶりには、「現物不動産に比べると」というニュアンスも含まれているのです。

メリット2

Jリートには、オフィスビル特化型や商業施設型、住居特化型、物流施設型、ホテル型から総合型まで多様な投資法人があります。

ひとえに分散投資が可能といっても、ただいろいろな種別の銘柄を購入すればよいものでもありません。それぞれの種別の特性を理解したうえでの分散投資を検討しましょう。

メリット3

「Jリートのリスク」という項目でも説明をしましたが、専門家だから大丈夫ということはありません。

もちろんほとんどの法人には、投資可能な程度の専門性を有していると思うのですが、定期的に決算書や各法人のホームページに掲載されている情報に目を光らせておきましょう。

メリット4

換金性が高いというのは、証券会社を介して、いつでも売り買いできるという意味ではそのとおりです。

この場合においても、その法人に何らかのマイナスの異変が発生したときには、通常の株式と同様、ストップ安で換金できないといった場合もあり得ますので、注意しましょう。

メリット5

投資法人は、一般的な株式会社とは異なり、利税引き前利益の90%以上を投資家に配当することで、法人税が実質無税になることになっています。

ですから、普通であれば、法人税を支払ったうえで配当が可能な分の一部を還元するわけですが、Jリートでは、無税を前提として、利益のほぼすべてを投資家に分配します。

ちなみに、2017年1月時点での東証一部上場会社における単純平均利回りは、1.65%となっていますが、Jリートの平均利回りは、2017年2月8日現在3.65%(japan-reit)となっています。

ただし、過去にも公募増資の投資口の希薄化や大口テナントとの契約解除などにより、利回りが急激に低下した例もありますので、必ずしも株式より高利回りであるということが保証されているものではありません。

一般的にメリットと言われていることでも、鵜吞みにしないで、自分の頭で考えるようにすれば大丈夫!

スポンサーリンク