今回は、商業物流型リートのイオンリート投資法人(3292)の第8期(2017年1月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.aeon-jreit.co.jp/ir/ir-library/pdf/ARP-nB9H.pdf
主な特徴など
イオンリート投資法人(3292)は、平成25年に上場されましたイオングループの運営する商業施設を保有運営する投資法人です。
イオングループ関連施設以外の物件は保有しておらず、単純明快なイオンのためのリートです。少し言い間違えたかもしれません、投資家のためのリートです。
直近の業績は?
なお、前回の業績check記事は、以下のとおりです。
では、第8期(2017年1月期)の業績ですが、決算説明会資料の5ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||
第7期 | 第8期 | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
営業収益 | 10,925 | 11,974 | +1,049 |
営業利益 | 4,269 | 4,671 | +402 |
経常利益 | 3,623 | 3,958 | +335 |
当期純利益 | △1,627 | 3,954 | +5,581 |
利益超過分配 | 1,450 | ||
一口当たり分配金 | 1,450円 | 3,019円 | +1,569 |
第8期(2017年1月期)の増収要因は、第7期に取得した物件の通期寄与、及び第8期に取得したイオンモール苫小牧、イオンモール小山、イオンモールセレンバン2による収益増です。
また、前期に計上した熊本地震による特別損失がなくなったことにより、前期実施した利益超過分配がなくなり、通常モードによる分配金支払いとなっています。
利益超過分配については、以下の記事でもふれておりますのでご参考ください。
海外SPCスキームとは
第8期に取得したマレーシアにあるイオンモールセレンバン2については、決算説明会資料の7ページのとおり、Jリートで初めて海外SPCのスキームを使って取得した形となっています。
以前にも投資法人からリリースがありましたが、物件を保有運営するための特定目的会社(SPC)を海外で設立し、その会社の株式を取得するといったスキームになります。
http://www.aeon-jreit.co.jp/ir/pressrelease/pdf/ARP-Swq5.pdf
今後の業績予想
次に、第9期 (2017年7月期)及び 第10期 (2018年1月期)の業績予想ですが、決算説明会資料の18,19ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||||
第8期 | 第9期 (2017年7月期) |
第10期 (2018年1月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 11,974 | 14,632 | +2,657 | 15,128 | +496 |
営業利益 | 4,671 | 5,580 | +909 | 5,811 | +230 |
経常利益 | 3,958 | 4,714 | +755 | 4,895 | +180 |
当期純利益 | 3,954 | 4,709 | +755 | 4,890 | +180 |
一口当たり分配金 | 3,019円 | 2,875円 | △144 | 2,990円 | +115円 |
第9期 (2017年7月期)は、29年2月に実施した大型公募増資により大幅な増収増益となる見込みです。ですが、第7,8期に取得した固都税の費用化や多くの物件を取得したことによる地代等の増加、減価償却費の増加により、公募増資後の1口あたりに割り戻した結果の分配金が減少ということになるようです。
公募増資を実施した平成29年2月は、まだ東証リート指数1800ポイント程度あり、現在よりは良い市況でしたが、増えた投資口数の結果、減配ということになっています。
第9期 (2017年7月期)は、減価償却費だけでも、前期比782百万も増えていますから、その分キャッシュは投資法人に残るのですが、利益超過分配は実施しないとのことですので、分配はされません。
投資法人としては、第8期は、分配金が伸びたけれども、その水準を維持する意向はなく、第9期、第10期からが巡航ペースだと考えているのかもしれませんね。
主な投資指標
最後に、主な投資指標です。
29.8.8現在の投資口価格118,000で、第10期の予想分配金2,990円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約5.0%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約6.5%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、0.93%です。
また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間14,681,064千円でありますから、1口あたりFFOが11,211円程度となり、投資口価格の約9.5%です。
決算短信
http://www.aeon-jreit.co.jp/ir/ir-library/pdf/ARP-3FIn.pdf
賃貸NOI(半期) 8,747,311千円
取得価格総額 268,590,000千円
FFO(半期) 7,340,532千円
口数 1,309,467口
・本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
・リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
・キャッシュフローを追え! FFOを理解する。
投資主の状況
個人・その他 9.9%
金融機関(証券会社含む)56.3%
その他国内法人 23.9%
外国人投資家 9.9%
他の銘柄と比較して、その他国内法人の割合が大きくなっています。そのうち、筆頭投資口主は、イオン株式会社(8267)となっています。
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