Real Estate Investment Trust
tumblr_of4rhzpg8d1slhhf0o1_1280
 

今回は、住宅型リートのアドバンス・レジデンス投資法人(3269)の第13期(2017年1月期)決算をcheckしていきたいと思います。

決算説明会資料
http://www.adr-reit.com/src/2017/03/f2ab5c7a08682271813e696791df2603.pdf

主な特徴など

アドバンス・レジデンス投資法人(3269)は、平成18年に上場されましたが、破綻したパシフィックHDがスポンサーであった日本レジデンシャル投資法人との新設合併により、平成22年、新生アドバンス・レジデンス投資法人(3269)が誕生しています。

資産運用会社は、ADインベストメント・マネジメント株式会社であり、メインスポンサーは、伊藤忠商事株式会社です。

住宅系Jリートのうち、最大級の運用資産を保有しているとともに、最大の負ののれんを保有しているまさに旗艦的なレジデンスリートということになります。

最大規模の負ののれん

アドバンス・レジデンス投資法人(3269)は、日本レジデンシャル投資法人と新設合併した際に、多額の負ののれんを得ています。現在も335億円もの負ののれんを有しているため、これを分割して取り崩して分配金に上乗せして投資家還元することになっています。

【リートの基本】Jリート(REIT)の超重要要素「負ののれん」とは。

直近の業績は?

では、第13期(2017年1月期)の業績ですが、決算説明会資料の4ページに掲載されています。

(単位:百万円)
第12期 第13期
実績 実績 前期比
営業収益 15,444 15,504 +60
営業利益 7,727 7,801 +74
経常利益 6,206 6,371 +165
当期純利益 6,205 6,371 +166
一口当たり分配金 4,774円 4,979円 +205

第13期(2017年1月期)の増収要因は、レシディア三宿等の新規物件の取得によるものです。2017年1月期及び7月期に取得する物件については、14ページに掲載されていますが、掲載5物件の平均築年数4.3年ということで、新しい物件を取得しています。

また、同じくらいの効果を上げているのが、借入金の返済と利息金利の低下による支払利息の減少です。2016年9月の公募増資により、借入金と投資法人債を減らし、支払利息を減少させた効果です。

なお、冒頭でもふれましたが、毎期負ののれんを3億円以上取崩して分配金にプラスオンさせています。これは1口あたり259円にあたります。

 


今後の業績予想

次に、第14期(2017年7月期)及び 第15期(2018年1月期)の業績予想ですが、決算説明会資料の22ページに掲載されています。

(単位:百万円)
第13期 第14期
(2017年7月期)
第15期
(2018年1月期)
実績 予想 前期比 予想 前期比
営業収益 15,504 15,755 +251 15,709 △46
営業利益 7,801 7,819 +18 7,787 △32
経常利益 6,371 6,480 +108 6,480 0
当期純利益 6,371 6,480 +108 6,480 0
一口当たり分配金 4,979円 5,049円 +70 5,049円 0円

第14期(2017年7月期)も引き続き増収増益となる予想となっています。新規物件取得による増収が続きます。その他、借入金の支払利息の減少も続きます。これらの増収要因は、第15期(2018年1月期)もほぼ変わらずとなっています。

第15期(2018年1月期)は、いわゆる繁忙期(2,3月あたり)を含んでおりませんため、減収の見込みですが、ファイナンス以降でプラスマイナスゼロとしていますが、これはとりあえずの数字を置いている感じなので、実際は、実績プラスでもっていき、上方修正するものと思われます。

経年劣化との闘い

今回の決算説明会資料38ページには、すべてのリートに共通する宿命ともいうべき事項が掲載されています。不動産は、時が経つにつれて経年劣化し、それに伴い賃料が減少していくということです。

このことは、当たり前のことですが、分配金の向上を当然のように要求される投資法人にとっては、腕の見せ所であり、投資家の頭の片隅にも置いて欲しいと思っている事柄でもあるのではないでしょうか。

現物不動産の投資においても、賃料の低下を前提として、少しでも賃料を維持しようということで、居室のリノベーションや仲介ショップに支払う広告料を上乗せしたりと様々な工夫をします。

では、何故賃料を下げたくないのか、インカムゲインが減るとともに、売却する際の売却額も減少するからですね(利回りが減るので)。不動産投資は、こうしたこととの闘いなのです。

主な投資指標

最後に、主な投資指標です。

29.8.4現在の投資口価格276,600で、第15期の予想分配金5,049円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約3.6%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約5.5%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、1.34%です。

また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間17,929,612千円でありますから、1口あたりFFOが13,281円程度となり、投資口価格の約4.8%です。

決算短信
http://www.adr-reit.com/src/2017/03/b2616ccfab1c9e7fbc683ea2551d6eb0.pdf

賃貸NOI(半期) 12,052,359千円
取得価格総額 436,918,000千円
FFO(半期) 8,964,806千円
口数 1,350,000口

本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
キャッシュフローを追え! FFOを理解する。

投資主の状況

個人・その他 7.7%
金融機関(証券会社含む)70.8%
その他国内法人 4.6%
外国人 16.9%

他の銘柄と比較して、外国人投資家の割合が大きくなっていますね。

スポンサーリンク

コメント

この記事へのコメントはありません。

コメントする


※メールアドレスは公開されません。