Real Estate Investment Trust
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本日は、1月決算銘柄であるサムティ・レジデンシャル投資法人(3459)の28年7月(第2期)決算を確認していきたいと思います。この銘柄も前回のスターアジア投資法人(3468)と同様に分配金が高くなっていますが、スターアジア投資法人(3468)の場合は、固定資産税の繰延効果により、一時的に分配金が増えていました。

サムティ・レジデンシャル投資法人(3459はどうでしょうか。

決算説明会資料
http://www.samty-residential.com/file/term-242e730681e7069fb0316681c0e0763bd993b4cb.pdf

サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)は、住宅系の物件の主に扱う法人ですが、上記決算説明会資料の5ページにあるとおり、保有する物件の70%程度を地方都市と設定しています。これは、従来の住宅系リートが主に首都圏を取り扱う方針であった(福岡リートのように地方特化型は除く。)のに対して、異色のリートと言えるでしょう。

現物の不動産投資でも首都圏よりも高利回りである投資物件を狙って、地方都市を中心に投資をされている人もいます。地方都市での不動産投資は、リスクが高いと言う人もいますが、住宅系の不動産投資はマンション経営ですから、どこの地域であっても、入居者がいれば、経営は成り立つのです。

地方都市においても、入居者をしっかりと確保することのできる立地であったり、設備を充実させたり、仲介業者と懇意にしたりということで、他のライバル物件よりも優先して客付けをしてもらえるようになればいいわけです。また、中には地方都市といっても、そもそも需要と供給がバランスしている地域だってあります。

ですから、一概に地方都市イコールリスクが高いとも言えないのですね。

決算内容

こうした前提で、引き続き決算説明会資料を見てみましょう。6ページですが、稼働率は、95.4%となっていますので、まあまあだと思いませんか。個人投資家の肌感覚でも、一部のスーパーマンの人を除いて、95%の稼働率が得られれば、「」をあげたいところと思います。

ただ、一方では、保有物件の平均築年数は7.4年となっています。これは全リート銘柄の中でも4番目ということで、トップレベルの築浅物件を取り揃えているということになるでしょう。

japan-reit
http://www.japan-reit.com/ranking/all#age

これくらい築浅物件を保有しているのであれば、地方都市と言えども、ある程度の稼働率は達成可能と言えるのではないでしょうか。ましては、リーシングしているのは、個人ではなく、投資法人という組織ですからね。

次に、決算の内容を確認します。8ページですが、賃料が第1期よりも第2期の方が減少していますが、これは説明に書いてありますとおり、第1期は11か月の変則決算であった一方で、第2期が通常の6か月決算となったことによる差異とのことです。第1期を同じ6か月にすれば、実質は700百万程度ということで、第2期の方が賃料収入は増えています。

また、営業費用は、期間が11か月から6か月になったこともあり、減少し、営業外費用も第2期では上場時の一時的な費用がなくなったため、大幅に減少しています。こうした詳しいことは、46ページのさらに細かい損益計算書を確認すればわかります。

上記のことから、当期純利益は増え、分配金も上昇しています。

次期決算の予想

続いて、次期の第3期(平成28年8⽉1⽇〜平成29年1⽉31⽇)、第4期(平成29年2⽉1⽇〜平成29年7⽉31⽇)の予想が出ていますので、30ページを見てみましょう。28年8月に多くの物件を取得していますので、大幅に賃料収入が増えています。

前回確認しましたスターアジア投資法人(3468)は、固都税の費用化が開始となったため、減益となりましたが、今回はどうでしょうか。30ページの営業費用には、公租公課が出ており、固都税の支払が開始されていますね。ですが、賃料収入の増加がそれらの費用の増加を吸収しているようです。

また、第3期と第4期とでは、収入と営業費用に変化はあまりありませんが、第4期に営業外費用が減少となるため、若干の増益と予想されています。この減少する営業外費用は、46ページの損益計算書を見てもいまいちわからなかったので、融資関係費用か何かでしょうか。これは、次期決算で確認できると思います。

さて、こうして見てみますと、第3期第4期の水準が今後の巡航として推移するようですが、どうでしょうか。

利益超過分配金とは

なお、補足ですが、この法人では、利益超過分配⾦を実施していますが、これは減価償却費の一部を分配金として支払うといったイメージです。詳しくは33ページをご覧頂ければと思います。

現物の不動産投資をされている人は、イメージしやすいかもしれませんが、費用として減価償却費相当額は、収入から差し引かれますので、その分の税金支払いが減少しますね。現金を使っていないにも関わらず、税金が減りますので、現金が手元に残るわけです。

不動産投資信託の場合は、9割以上を投資家に分配すれば法人税が無税となりますので、少し事情は異なるのですが、要は、リートに本来残しておく減価償却費相当額の現金を上乗せして、投資家に分配をすることをします。ただ、あまり無尽蔵に分配金に上乗せしてしまうと、本来減価償却費相当のプール金は、大規模修繕などにも使うので、その際に困ってしまうということが起きますから、33ページでは、一定の基準を設けているわけです。

(参考)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ri/A02155.html

では、今後はどうなるか

少し長くなってしまいましたので、ここからは短めに終わりますが、この法人の課題として、個人的に思いますのは、この法人だけではありませんが、スポンサー関与物件が多いこと(6ページ)、LTV(有利子負債比率)がすでに51.7%もあること(19ページ)、地方都市への投資の割にNOI利回り(5.6%)も高くはない、ことかと思います。

NOI利回りがそれほどでもないのは、築浅物件を取り揃えて稼働率を上げているからとも思いますが、そうであればなおさら、この稼働率等の運営状況をよく確認し続ける必要もあろうかと思います。

こうした中で、第5期以降の分配金がどうなるかですが、何の物件も増やさなければ、巡航通りで行くものと思われますから、このまま何らかの環境が変わらないとすれば、(2,625×2)÷12/30投資口価格86,700≒利回り6.0%インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)スターアジア投資法人(3468)よりも本当の利回りは高くなる可能性あり。)。)となり、分配金が上昇するには、物件のさらなる保有が必要です。

また、サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)利回り6.0%で巡航したとしても、利益超過分配⾦込みというところも、そもそもの情報として認識しておく必要があります。これが、ひとえにサムティ・レジデンシャル投資法人(3459)の高利回りのワケですから。

まあ、一生保有するということでなければ、いいのかもしれませんが、リーマンショックのようにリスク探しの全体相場となった場合には、こうした利益を超過して分配してきたこと自体が大きなリスクとして認知される可能性はあるのかもしれませんね。

また、LTVが高い中で、28年に引き続いて増資も考える(28年8月増資は、これにより分配金は上昇しておらず)となると、これ以降の分配金上昇は見込めるのかなあという懸念もあるのではないかと思っています。

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