Real Estate Investment Trust
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先日、日経スタイルのマネー研究所の記事で、以下のようなリートと大家の利回りなどの比較に関する記事が掲載されていました。

リートの利回りを3.8%、大家の利回りを5~6%として、比較がなされていましたが、こうした表面利回りだけから比較をしても、単純に現物不動産投資の方がよいのではと誤解を生みやすいところです。

今回は、具体的な数字を確認しながら、リート(REIT)における手残りと現物不動産投資における手残りの違いをシミュレーションしてみたいと思います。

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表面利回り5~6%の築浅アパートの手残り

それではまず、上記記事もありますとおり、東京23区にある想定利回り5~6%の物件におけるシミュレーションをしてみましょう。

物件の取得価格を分かりやすく5000万円(6部屋,築7年,木造,建物/土地比率=4:6,取得費用含む。)とした場合、表面利回り6%とすれば、利益は、300万ということになりますね。300万あれば、車くらい買えるかなというイメージです。

ところが、当然ですが、アパート経営には、管理会社に支払う管理費や火災保険料、共用部分の光熱水費が通常かかります。また、入退去に伴う原状回復工事費や賃貸募集の広告料、あるいは、入居中の居室にかかる突発的な修繕費もあり得ます。

また、最後の最後で必要となるのは、税金です。これが所得に応じて増えて行きますので、アパート経営以外にも収入がある場合には、意外に多くの所得税がかかる場合もあるのです。

かかる費用をシミュレーション

収入と費用を以下のとおりと仮定します。

(収入)
1居室あたりの賃料 平均月3.75万程度 稼働率90% 270万の家賃
(費用)
管理会社管理費 年13.5万(賃料の5%)
定期清掃 年6万
火災保険料 年5万
共用部分の光熱水費 年3万
入退去に伴う原状回復工事費 年29.5万
修繕費 年4.25万
賃貸募集の広告料 年3.75万
固都税 年30万
減価償却費(償却16年) 建物2000÷16=125万
合計 およそ220万
※単価は、とあるアパートの実績による。

所得金額の計算

不動産の所得金額は、270万-220万=50万となります。そして、保有者を普通のサラリーマン(所得金額300万)と仮定し、不動産と給与との合算所得の合計が350万となりますが、青色申告の10万円控除(事業規模)とし、340万としましょう。

所得税の計算

次に、所得金額から下記表を使って、所得税額を求めます。

3,400,000×20%-427,500=252,500円となりますが、サラリーの所得税で、20万ほどすでに支払っているとすれば、52,500円が追加で収めるべき所得税となります。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※上記税率は、不動産所得以外にも例えば、給与所得があれば、それぞれを合算した金額で判断されますので、税率が33%になったり、40%になることもあり得ます。

手残りの計算

不動産の所得金額270-220=50万に減価償却費125万を足し戻した金額が実際の不動産の手残りの基礎となりますので、手残り175万となりますが、所得税52,500円を控除して、1,697,500円となります。




表面利回り3.8%のリート(REIT)の手残り

さて、ここからは、リート(REIT)の手残りを計算していきたいと思います。現物不動産の計算に比べて、はるかに簡単です。5000万分のリートを平均利回り3.8%で保有し、分配金に税率20.315%がかかると仮定します。

収入の計算

50,000,000×3.8%=1,900,000円

税金の計算

1,900,000×20.315%=385,985円

手残りの計算

手残りは、1,900,000円から税金の385,985円を控除し、1,514,015円となります。あっという間でしたね。

両者の手残り額比較

表面利回り6%の築浅アパートの手残り 1,697,500円
(表面利回り5%の築浅アパートの手残り 1,250,000円

表面利回り3.8%のリート(REIT)の手残り 1,514,015円
(表面利回り5%のリート(REIT)の手残り 1,992,125円

表面利回り6%の築浅アパートの利益を計算する際のポイントは、稼働率をどう想定するかです。表面利回りですと、その点が全然考慮されていないのですが、実際は空室期間がありますし、退去に伴う再募集→入居までの費用が結構かかるのです。

こうしてみると、表面利回り6%の築浅アパートと表面利回り3.8%のリート(REIT)の利回りは、それほど大差がなくなる可能性が高いということになります。

もちろん、現物不動産投資では、掃除を自分でやったり、リフォームをDIYしたりと、経費削減に努めることで、手残りが増やす方法があります。一方で、その自身の働きに対する時間的対価は支払うことになりますね。

また、現物不動産投資には、数字に表れない苦労もあります。いつ管理会社から、苦情報告や修繕依頼の連絡が入るか分かりませんし、滞納問題や昨今は敷金の返還など環境は厳しくなる一方です。これに対して、リート(REIT)には、このようなことは一切なく、管理に関するすべてのことがお任せなのです。

このように、苦労してアパートを経営しても、リート(REIT)よりも手残りが似たような水準であれば、何の苦労か分かりません。

すでに利回り6%の不動産投資は、相続税対策でしかないことが想像つきますね。現物不動産の利回り低下が続く昨今、インカム投資としてのリート(REIT)の優位性が勝ってきているのではないでしょうか。

(なお、現物不動産投資の強みとして、融資によるレバレッジがあります。この点は、別の機会にふれることにします。)

収益のシミュレーションを

現物不動産のシミュレーションにおいては、各項目の初期設定によっても、結果が変わってくるわけですが、現物の不動産投資を考えるときには、上記のようにシミュレーションをしてみて、それがリート(REIT)よりも効果のある投資かという確認をしてみてはいかがでしょうか。

そのうえで、リート(REIT)の方がより有益な投資先と言えそうであれば、ぜひリート(REIT)を買ってください。

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