Real Estate Investment Trust
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今回は、総合型リートのMCUBS MidCity投資法人(3227)の第21期(2016年12月期)決算をcheckしていきたいと思います。

決算説明会資料
http://www.midcity-reit.com/file/index?type=22&id=59&file=.pdf

主な特徴など

MCUBS MidCity投資法人(3227)は、MIDリート投資法人として、平成18年8月に上場となりました投資法人です。このMIDという名称ですが、上場時のスポンサーがMID都市開発株式会社であったことからきています。

そもそもこのMID都市開発株式会社は、松下興産株式会社として創業された会社でありますが、その関係で、その後のリスク要因となるツイン21(パナソニックなどが入居)を保有しているのですね。

そして、まだ紆余曲折があるのですが、2009年12月、MID都市開発株式会の主要株主の異動により関西電力株式会社が実質的なスポンサーとなりました。

そして、さらに、2015年4月には、三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社が資産運用会社であった旧MIDリートマネジメント株式会社のメインスポンサーとなり、MCUBS MidCity投資法人(3227)に名称変更したというのが全歴史です。

直近の業績は?

では、第21期(2016年12月期)の業績ですが、決算説明会資料の6ページに掲載されています。

(単位:百万円)
第20期 第21期
実績 実績 前期比
営業収益 6,824 7,005 +181
営業利益 2,462 2,551 +88
経常利益 1,889 1,977 +545
当期純利益 1,888 1,976 +88
一口当たり分配金 7,100円 7,431円 +331

分配金は上昇してます。このことも含め、スポンサーが三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社に変更となった成果を説明会資料は、非常に強調をしています。

2,3,4,7,8ページには、その成果がこんこんと説明をされているところです。

実際のところ、これまでのスポンサーが投資家から見ますと非力であったと思いますので、ホルダーの方々は、少なくとも相対的に改善しているという印象はお持ちなのではないでしょうか。

三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社がほかに運営している産業ファンド投資法人(3249)もリーマン後は非常に危ぶまれた感がありましたが、分配金をメイクするという意味では、比較的個人投資家好みの運営をしているような気がします。



今後の業績予想

次に、第22期 (2017年6月期)及び第23期 (2017年12月期)の業績予想について、決算説明会資料の15ページを見てみましょう。

(単位:百万円)
第21期 第22期
(2017年6月期)
第23期
(2017年12月期)
実績 予想 前期比 予想 前期比
営業収益 7,005 8,054 +1049 7,545 △509
営業利益 2,551 3,176 +625 2,974 △198
経常利益 1,977 2,590 +613 2,374 △216
当期純利益 1,976 2,589 +613 2,373 △216
一口当たり分配金 7,431円 7,900円 +469 8,000円 +100

第22期(2017年6月期)は、物件の売却益により、本来であれば8,729円程度の分配金が可能でしたが、一部積み立てを行うこととし、7,900円の分配に留めています。

続く、第23期(2017年12月期)では、減収減益となりますが、分配水準を前期に抑えていた分、増配基調は守られることになります。

なお、この積立は、租税特別措置法第65条の7「特定の資産の買換えの場合の課税の特例により行われるとのことですが、こうした積立金の仕組みについては、詳しくは以下の記事をご参考ください。

【リートの基本】リートの分配を一部繰り延べる圧縮積立金とは?

ツイン21リスクは去ったのか

こちらの投資法人については、把握しておくべき事柄があります。それは、ツイン21リスクです。

冒頭でも少しふれましたが、MID都市開発株式会社は、松下興産株式会社として創業された会社ということで、ツイン21の主要テナントは、パナソニックです。

リーマンショック後に、このパナソニックの業績不振により退去するのではないかという投資法人の存続が危ぶまれるほどのリスクを抱えていました。

MIDリート投資法人(3227)のパナソニックリスク。他リートへの影響は?

結局のところ、2012年に以下の実質上の賃料減額覚書を締結することとなり、4期(2008年)3,065百万→21期(2016年)2,303百万へと収益が減少しています。

http://www.midcity-reit.com/ir_news/detail?id=148&file=pdf

このツイン21は、現在でも投資比率28.8%を抱える旗艦物件となっていますから、この投資法人に投資される場合は、このことを了解しながら付き合っていきましょう。

主な投資指標

最後に、主な投資指標です。

29.6.27現在の投資口価格347,500 で、第23期の分配金8,000円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約4.6%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約3.7%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、0.94%です。

また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間6,530,798千円でありますから、1口あたりFFOが24,549円程度となり、投資口価格の約7.0%です。

決算短信
http://www.midcity-reit.com/file/index?type=14&id=59&file=.pdf

賃貸NOI(半期) 4,513,070千円
取得価格総額 238,144,000千円
FFO(半期) 3,265,399千円
口数 266,025口

本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
キャッシュフローを追え! FFOを理解する。

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