Real Estate Investment Trust
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今回は、オフィス、物流、商業、住居、ホテルを保有する総合型オリックス不動産投資法人(8954)の2016年8月(第29期)決算をcheckしたいと思います。

決算説明会資料
http://www.jrf-reit.com/upd2/ir_library/pdf/ir7325818639C122732.pdf

主な特徴など

オリックス不動産投資法人(8954)は、証券コードからも分かるように、日本リーテルファンド投資法人(8953)と同時期の2002年に上場している歴史ある投資法人です。その名のとおり、オリックス株式会社(8591)がスポンサーになっています。

直近の業績は?

さて、説明資料の冒頭には、いろいろと業績概要が書かれていますが、当ブログとしては、まず32ページに載っている損益の概要を見てみたいと思います。

(単位:百万円)
第28期 第29期
実績 実績 前期比
営業収益 19,895 20,365 +470
営業利益 9,369 9,155
経常利益 7,705 7,591
当期純利益 7,698 7,575 △123
一口当たり分配金 2,989円 3,000円 +11

第28期では、物件の売却益が954百万円ありました。一方で、第29期には、公募増資により2016年3月に取得した6物件の寄与などがあり、営業収益が増益となりました。なお、説明資料の12ページにも書いてありますが、この法人では、絶賛内部留保促進中のようで、ここ数年でずいぶんと積立金が積みあがってきております。

12ページ左下のグラフ、内部留保額のところを見てみますと、第27期末で773百万円、第28期末で1,536百万という具合に推移しています。これは、物件の売却益を当該期の分配金をして支払うのではなく、留保しておき、将来物件の売却損が発生したり、稼働率の急低下などのリスク時に分配金が減ってしまう場合の穴埋めなどに備えることです。このことは、決算短信の貸借対照表を見ても分かります。

気づかれた方も多いかと思いますが、第28期の当期純利益が7,698百万で、第29期の当期純利益が7,575百万ということで、減少しているのに、分配金は2,989円→3,000円と増えているので、何だろうということなのですが、積み立てをしたことにより、結果的に分配金が調整されているのです。

つまり、第28期及び第29期に、それぞれ内部留保をして一部分配を留保することにより、分配金額を2,989円→3,000円といい感じに推移するように、調整したことになります。積み立てて留保した分は、またいつか支払いますということです。

今後の見通し

次に、続く第30期と第31期の予想ですが、説明資料の33ページに掲載されています。

(単位:百万円)
第29期 第30期 第31期
実績 予想 前期比 予想 前期比
営業収益 20,365 21,013 +647 21,311 +298
営業利益 9,155 9,102 8,985
経常利益 7,591 7,592 7,516
当期純利益 7,575 7,573 △1 7,497 △75
一口当たり分配金 3,000円 3,000円 2,970円

第28期と第29期に取得した物件が通期寄与化するため、営業収益が引き続き増えるのですが、そのことに伴う管理費や水道光熱費などの営業費用が増えるため、営業利益減が予想されています。特に、水道光熱費を多めに見積もっていますし、第31期には、固都税が開始となり、その影響により当期純利益が減となることで、分配金もマイナス30円です。

両期ともに、内部留保した積立金の取り崩しはしないこととしています。第31期に分配金を30円下げるくらいなら、取り崩せばいいのにと思われますけれども、おそらく法人としては、水道光熱費など営業費用が予想よりも減ったり、第31期は、3月という繁忙期を含みますので、営業収益が上振れるなど、巡航の分配金ペースは、超えてくるだろうと、内々ではふんでいるのではないでしょうか。後々、上方修正した方が、体裁もよいですから、という意図もあるかもしれません。このあたりは、手慣れている感も垣間見えるように思います。

説明資料の7ページにもありますが、分配金の安定的成長といって資料を示しているくらいですから、そのあたりは無難に数字を置いてくるはずです。

なお、物件の状況につきましては、テナント入替について、23ページですが、意外に苦戦しているようで、オフィスと商業系の資料しか載っていませんが、賃料水準はやや下がりのようです。今後もトントン又はやや下がりが予想されています。一方で、更新においては、24ページのとおり、増額更新が多くなっています。

以上のように、リーシングなど盤石というわけではありませんが、内部留保をしつつ、引き続き、外部成長を行いながら、巡航の分配金を維持又は増やしていくことのできる体制はとられているものと思われます。

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