今回は、総合型リートのマリモ地方創生リート投資法人(3470)の第1期(2016年12月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.marimo-reit.co.jp/file/term-56c232f0776204dfec058bdbe2d94f93d4de7de6.pdf
主な特徴など
マリモ地方創生リート投資法人(3470)は、平成28年7月に上場となりました、まだ出来立ての投資法人です。
投資方針は、「地方の創生」への貢献を実現ということが特徴となっており、主として地方に所在するレジデンス及び商業施設を中心に、ホテル、オフィス及び駐車場へも総合的に投資を行うとしています。
首都圏以外の70%以上をいわゆる地方に保有することが掲げられており、現状のポートフォリオを見てみましても、名古屋市、福岡市、仙台市、神戸市、宮崎県、広島県、長崎県、広島市、山梨県といったところの物件を保有しています。
山梨県では、セブンイレブンの底地を保有しており、個人投資家さながらなのは、リートでは、珍しいことかと思います。
なお、資産運用会社は、マリモ・アセットマネジメント株式会社となっており、スポンサーは、株式会社マリモホールディングス 91%、株式会社リビタ 5%、株式会社三重銀行 2.5%、株式会社みちのく銀行1.5%となっています。
このメインスポンサーである株式会社マリモホールディングスは、 もともと設計事務所でしたが、マンション分譲に乗り出した経緯があります。
本社は、広島市ですが、全国のマンション分譲を手掛けており、「ポレスター」というマンション名で、ハッとされる方もいるでしょう。
マレーシア、インドネシア、フィリピンと海外進出も果たしています。
直近の業績と今後の見通し
さて、本投資法人は、まだ実績が第1期のみとなりますので、第2期、第3期の業績予想と一緒に見ていきたいと思います。決算説明会資料の24ページです。
(単位:百万円) | |||||
第1期 | 第2期 (2017年6月期) |
第3期 (2017年12月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 608 | 724 | +115 | 724 | +0 |
営業利益 | 326 | 298 | △28 | 297 | △2 |
経常利益 | 51 | 245 | +194 | 245 | +0 |
当期純利益 | 49 | 244 | +195 | 244 | +0 |
1口当たり利益超過分配金 | 432円 | 513円 | +85 | 517円 | +4 |
一口当たり分配金 | 977円 | 3,210円 | +2,233 | 3,203円 | △7 |
第1期は、期間が短く、上場関係費用もかかっておりますので、なかなか参考にはならないのですが、第2期からが巡航となります。固都税の費用化は、第2期から計上されるとのことです。
固都税の費用化が遅れて開始されることについては、以下の記事をご参照ください。
【5月決算REIT】昨今、オフィスと商業用施設両輪で積極的な物件取得を進めるアクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)の業績をcheck!
利益超過分配金
また、本投資法人では、利益超過分配金が実施されます。決算説明会資料の22ページにも書いてありますが、減価償却費の30%以下かつペイアウトレシオ75%以下という条件です。
この利益超過分配金とは、減価償却費の一部を分配金として支払うものです。減価償却費のボリュームが大きくなる傾向があるGLP投資法人(3281)や日本プロロジスリート投資法人(3283)などの物流施設で実施される場合が多いのですが、そのほか、日本ヘルスケア投資法人(3308)などのヘルスケア系でも実施されています。
また、本投資法人と同じ地方物件比重の高いサムティ・レジデンシャル投資法人(3459)でも実施されています。地方の場合は、首都圏に比べて、土地の価格が低くなるため、比較して建物の価格が高く評価されることがあり、減価償却の対象となる建物の価格が高ければ、それだけ利益超過分配金の余地が大きくなるといったことなのです。
主な投資指標
最後に、主な投資指標です。
29.6.19現在の投資口価格95,400 で、第2期の分配金3,210円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約6.7%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約6.6%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、0.84%です。
また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、第1期目ということで、参考になりませんので、省略します。
比較的利回りのとおり、安めの投資口水準におかれていると思いますが、その理由としては、資産運用規模が小さく、まだ第1期の決算しか終えていませんので、スポンサーである株式会社マリモや資産運用会社の運用姿勢、地方物件の稼働率などの状況を見ながら判断しようと判断されているものと思われます。
株式会社マリモ自体は、長い間黒字経営をしてきた堅実な会社かと思いますが、リートを運営する際のスタンスは、まだ未知数であり、本気で投資を考えてみえる方は、IR説明会やリートのイベントでの感触を確かめてみるのも一法かと思います。
決算短信
http://www.marimo-reit.co.jp/file/term-85bdb626dbd339fc32f10ac0e31b749e7df47b37.pdf
賃貸NOI(半期) 533,668千円
取得価格総額 16,170,000千円
FFO(半期) 181,915千円
口数 90,968口
・本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
・リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
・キャッシュフローを追え! FFOを理解する。
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