Jリートの銘柄を選ぶ際に、そのリートがどのような種類(オフィスや商業施設など)の不動産に投資しているのかを知っておくことは、とても重要です。
それだけ上手く抑えていれば、投資効率がぐんと上がることもあるくらいマスト事項です。
例えば、最近では、コロナウイルス感染症影響で、ホテル系のリートは、減収となっています。
一方で、巣ごもり消費、ネット通販が盛んとなり、物流施設がますます活躍する環境に変化してきています。
こうした社会の変化に対応して銘柄を選択するためには、リート全体の指数である東証リート指数だけではなく、オフィス指数などの用途別指数のチェックをしましょう。
今回のテーマは、リートの種類別指数を意識した銘柄選択をしようだよ。
目次
用途別に算出されたリート指数とは
東証には、上場する全リートを対象とした東証リート指数とは別に、東証REIT用途別指数シリーズという指数があります。東証は、2010年から、オフィス、住宅、商業・物流の3種類ごとの指数を算出しています。
東証、REIT用途別指数を算出 21日からホームページで公表(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL1807P_Y0A610C1000000/
それぞれの銘柄は、3種類の用途別に振り分けられています。この振り分けは、定期的に見直しがなされていますが、その都度東証からリリースがあります。「東証リート 用途別」で検索すると、見つかると思いますが、例えば、現時点で最新の2020年7月16日作成分は、以下の通りです。
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/line-up/files/mei_11_reitsec.pdf
ちなみに、難しいですが、それぞれの指数の算出方法も公表されています。
東証指数算出要領
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/line-up/files/cal_7_reit.pdf
東証REIT物流フォーカス指数の算出開始(2020.7.20)
物流施設系のリートが増えてきましたため、新たに物流施設系リートを集めたリート指数が追加されました。
構成銘柄は、以下の通りです。
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/line-up/files/mei_26_reitlogi0720.pdf
東証REIT用途別指数から分かること
例えば、以下は、ある期間の用途別指数の流れです。
オフィス 1613.98(1.5%)→1596.33(△1.0%)→1594.54(△0.1%)
商業物流 2074.63(1.1%)→2064.21(△0.4%)→2058.03(△0.2%)
住宅 2379.40(0.4%)→2371.85(△0.3%)→2391.54(0.8%)
全体 1646.05(1.2%)→1633.65(△0.7%)→1632.91(0%)
オフィス指数が1.5%上昇する一方で、住宅指数は0.4%の上昇にとどまっている週がありますね。また、住宅指数が0.8%の上昇していますが、ほかの二つの指数は下落となっている週もあります。
オフィス指数は、1.5%上昇した以降は、値動きがおとなしくなり、逆に2週にかけて行って来いであった住宅指数は、最終週で他の指数が静かな分買われています。
このように、東証リート指数だけを見ていても分からない景色が、用途別指数を追っていると見えてくることが分かります。
社会の変化に応じた動向
実は、新型コロナウイルス感染症が社会問題になる前は、オリンピックの開催や外国人観光客の増加といった現象から、とりあえずホテル系リートを買っておこうという流れがありました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の問題が深刻化した以降は、ホテル系リートは持つなという180度流れが変わった一方で、巣ごもり消費、ネット通販によって、物流施設系リートが推奨されるようになったのです。
このように、社会情勢の変化によって、どの用途のリートを保有しておけば良いかを考えていく必要があります。
japan-reit.comでは、投資法人ごとの保有不動産の用途別割合が確認できるよ。
用途別指数の見方と活用法
これら用途別指数は、東証のホームページに掲載されていますので、だれでも無料で確認することができます。
・東証REITオフィス指数リアルタイムグラフ
・東証REIT住宅指数リアルタイムグラフ
・東証REIT商業・物流等指数リアルタイムグラフ
また、リアルタイムではありませんが、東証REIT物流フォーカス指数は以下です。
あと、期間を指定してみることもできます。用途別指数ごとに、割と異なる動きをしていることが確認できます。
東証REITオフィス指数(過去3か月)
東証REIT住宅指数(過去3か月)
東証REIT商業・物流等指数(過去3か月)
例えば、2018年10月10日時点で、過去3か月を見てみますと、オフィス指数は、9月の中旬頃にいったん伸びて現在は少し値を戻しています。9月中旬は、8月にオフィスビルの空室率統計が鈍化したことを受けて、どうなるのかというところでしたが、再び空室率が低下したとのリリースが出ていました。
また、住宅指数は、この3か月間徐々に値を上げ続けていることが分かります。先日、日本不動産研究所から「東京マンション賃料は2020年まで上昇続く」というリリースが出されていました。
一方で、商業・物流施設は、ここ3か月間で100ポイント近く値を下げて、現在はいったん少し値を戻している状態です。地方の百貨店が閉店となったり、物流施設の東京圏空室率が上昇しているというニュースも出ていました。
それぞれの指数がニュースだけに反応しているということでもないとは思いますが、ここ3か月間で見ても指数ごとにずいぶんと流れが違っていることが分かりますね。
ということで、このような指数の流れを意識しながら、例えば、好調な住宅系銘柄を買おうとか、逆に、下がっている商業・物流系銘柄から好利回り銘柄を探そうといった活用ができれば、銘柄選びの方法の幅が広がると思います。
- 東証リート指数だけでなく、用途別指数も把握しておく。
- 用途別指数は、1日ごとだけではなく、中長期でも確認してみる。
- 用途別に関係しそうなニュースなどの情報も知っておくとベター。
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