Real Estate Investment Trust
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本日は、昨日の続きを【Jリート考】としてお届けします。

今回も引き続き、Jリート投資本である「Jリート市場は宝の山」をご紹介します。少し古い本ですが、いまだに有用な投資本だと思います。

Jリート市場は宝の山

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前回でもご案内のとおり、220ページ中で60ページ超が伊山氏の思考法に関する記述であったわけですが、このあたり、リーマン後の特にニューシティレジデンス破綻の頃におけるJリート投資にとっては、非常に重要な思考法であったことになります。

つまり、ニューシティレジデンス破綻の頃におけるJリート投資の環境というのは、常識的な思考を欠いていた状況であったと言えるからであります。当時は、多くの投資家がニューシティレジデンスの次に破綻する投資法人探しをしていたような相場の雰囲気でありましたから、Jリート銘柄について、至るところである意味常識的ではない値の付く場面が散見されておりました。

一例ですが、その当時私が購入した日本リテールファンド投資法人(8953)の買値は、1投資口あたり59,769円でありますが、現在202,800円をつけています。また、積水ハウス・SI投資法人(8973)は、当時親がジョイントコーポレーションでありまして、現在は分割されていますが、1投資口あたり16万が50万以上になっているのですから、その当時の投げ売りの激しさが伝わるかと思います。

以上のように、「Jリート市場は宝の山」の第2章では、この市場のミステイクを常識的に判断した結果、Jリートへの投資が確実に利益を生み出すものであるとの認識の上に立っていたわけであります。

また、そのミステイクという点での判断を下すにあたり、ニューシティレジデンス破綻をどう捉えるのか、というところも非常に重要な事柄であったわけですが、氏は第3章でそれはニューシティレジデンス特有の原因があったとふれております。

Jリートへの投資において、個人的にでありますが、この本の最も重要な部分は第2章の80ページからと考えておりまして、この視点は銘柄判断をする上で、欠かせないところといいますか、極端なことを言いますと、その視点だけでもいいかもしれないとさえ感じているところであります。

市場の価格は何を基準として動いているのか。基本的には、分配金の額だ。

ここのところは、当たり前のようで、とても重要な点だと考えます。ただ、この1行だけでは全くもって不完全でありまして、さらに重要な点があるですが、この点はぜひご自分でお読みになられて咀嚼していただきたいと思うのですが、つまり、重要なのは、現時点ではなく、将来なのであります。この点、筆者は数十ページにわたり、うまく説明されています。

その説明の中でも非常に妙を得ていると思うに、Jリートといえども、結局は現物投資と変わらず、物件の競争力が基本的な要素であり、そこを見分ける目が必要となるわけでありまして、そこが分配金という結果になって、現れてくるという点であります。

当然ここで賢明な投資家の方は、物件競争力か、うーむとなろうかと思いますが、個人的には以下のように考えます。専門家であれば、物件そのものを評価することができますが、わたしを含めて専門家ではなかったとしても、結果を見ていけば良いのではないかと。

その観点からしましても、やはり分配金というのは、見えやすいひとつの指標でもあると言えるのでしょう。ただ、そこにおいても、足元の点ではなく、遠くを見通すという目が必要となってくるわけですが、個人的にもこの点は、リーマン後Jリートの銘柄選別をする上で、拠り所の一つにしてきたところであります。

と、この第2章というのは、この本の核心をついたところでありますから、この記事では、著作権を意識し、直接的な表現を避けておりますが、気になる方は本を手にとって見ていただければと思います。

あと、一つ、最後に特筆させていただきたいのが、途中で氏は、その投資手法の一つとして、「追い込み」という言い方をされています。これは、評価の結果、投資適格な水準にあると判断される銘柄について、確信を持って、例え投資口価格が短期的に下落したとしても、追い込むように買い込んでいくということであります。

実際、当時は、8%とか10%とか、14%とか、といった高利回りとなっている銘柄が散見されておりました。ここでは、潰れると思えば買えないわけですが、潰れないと判断すれば、あとは高利回りにまかせて買うのみでありました。高利回りにまかせて買うとは、例えば配当利回りが年10%であれば、年10%投資口価格が下落しても構わないと考えながら買うということであります。

このことは、現在でも使えるところでありまして、配当利回り4%であれば、年4%投資口価格が下がっても良いとして、下落後の投資口価格を計算した上で、買うか買わないかということを考えるということです。さらには、チャートと現在の市況等を眺めながら、その投資口価格まで下落する可能性があるのかどうか、いつまでなら耐えうるのかといったことを考えます。

ただ、ここで重要なのは、前回の記事のメインテーマでありました分配金の安定性であったり、将来性であったりというところの銘柄評価は前提でありまして、その点で合格と言える銘柄を買うときに「追い込む」ということなのであります。

また長くなってしまいました。以上の考え方は、あくまで2010年当時の状況をベースにしていますから、現在はまた状況が変わっていますので、その評価自体、その点を考慮して読むことが必要と思います。

つまり、書いてある評価が2016年のいま、正解だったかどうかという評価の結果ではなく、氏の銘柄評価の手法といいますか、至るまでの思考法を参考にしていただくのがよろしいかと思います。

実際、投資口価格が上昇してしまった現在では、追い込みが効きにくかったりするところでありますので、そのあたりを念頭に動くなら、どの程度動くのか、動かないなら動かない、ということかと思います。

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