Real Estate Investment Trust
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今回は、不動産特定共同事業について、分かりやすく説明していきたいと思います。

不動産特定共同事業は、不動産特定共同事業法という法律に基づいていますが、制定が1995年ということで、リートよりも先に整備されています。

この法律は、これまで段階的に改正されていますが、日本における今日の不動産クラウドファンディングの生い立ちに非常に深く関わっています。

不動産クラウドファンディングでも、利用されることの多い仕組みであり、たびたび用語が出てくるので、ぜひ知っておいてください。

不動産特定共同事業の成り立ち

別記事のリートの成り立ちでも書いておりますが、バブル崩壊後の不動産焼け野原を前に、不良債権の解消、不動産売買の活性化が急務となっていました。

そのため、国は、債権の担保となっていた不動産の処分を進めやすくする環境を整えて、不動産の「証券化」「流動化」を推し進めました。

【リート考】特定目的会社、SPC、匿名組合出資、優先出資証券とは?

この流れの中で、不動産特定共同事業も創出されました。

事業者は、不動産を小口化し、投資家から募った資金を元に、不動産を売買・賃貸します。そして、その収益を投資額に応じて配当として投資家に分配します。

以下は、そのうちの匿名組合型という仕組みです。kyoudou1実のところ、この法律ができる以前も、不動産の小口化商品は提供されていました。

しかしながら、バブル崩壊により事業者の倒産が相次ぎ、投資家が甚大な損失を被ってしまうというケースが増加したため、不動産の「証券化」「流動化」を進めるには、投資家保護を法制化して強化する必要があったのです。

当時の不動産特定共同事業の課題

不動産特定共同事業は、許可制となっており、原則資本金1億円以上、組織・人員的な要件も必要とされました。

このため、不動産会社などの実体のある事業体が担う形が求められ、許可を得るまでも実際上の運営も手間がかかる制度でした。

事業者にとっては、非常に取り組みづらいものになっていたのです。

改正(2013年)

そこで、2013年の改正では、特別目的会社(SPC)を活用した特例事業の制度が導入されました。

SPCとは、倒産隔離機能を主とした箱ですが、このSPCをもって、特例事業の要件を満たせば、例外的に許可を得なくても、一定事項の届け出のみで、不動産特定共同事業を営むことができるようになりました。

【リート考】特定目的会社、SPC、匿名組合出資、優先出資証券とは?

しかしながら、制度面の課題が残り、特例事業の普及には至らず、2017年の制度改正につながっていきます。

改正(2017年)

2017年の改正は、いくつか大きな変更があったのですが、中でも、不動産特定共同事業契約が成立する前の書面や成立時の書面をインターネット等により交付することが認められることとなりました。

こうした不動産特定共同事業において、クラウドファンディングを可能とする環境整備が行われたことは大きな変更です。

また、中小企業でも特例事業者として参入できるようになり、先ほどの特例事業において参加できる投資家の範囲が拡大されました(特例投資家→一般投資家に拡大)。

改正(2019年)

2019年の改正では、2017年の改正をさらに推進し、不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインが策定され、「クーリングオフ制度」など、投資家の保護の規則が整備されました。

こうした法整備により、今日のように、現物の不動産を小口化した商品にネット完結で出資する仕組みが普及してきたのです。

不動産特定共同事業改正の経過と不動産クラウドファンディングの環境整備が進められた成果は以上となります。

今後は、2015年と2017年に改正された特定事業がさらに活用され、倒産隔離機能を具えた不動産クラウドファンディングの増加が期待されるところです。

では、最後に、この不動産特定共同事業を使った不動産クラウドファンディングの実例を紹介します。

不動産特定共同事業を使った不動産クラウドファンディング

CREAL
株式会社ブリッジ・シー・キャピタルが提供するサービス。1万円からできる不動産投資を掲げる。主に、エクイティ型の案件を提供しています。

Rimple(リンプル)
プロパティエージェントが提供するサービス。投資は片手でやる時代。シンプルにリンプルで始めよう。

大家.com
株式会社グローベルスが提供するサービス。後発組だけに高利回り案件が出そうです。

Jointoα(ジョイントアルファ)
穴吹興産株式会社が提供するサービスです。マンションへの投資が主。

トーセイ不動産クラウド
特例事業の制度を活用し、株式会社トーセイが提供するサービス。株式会社トーセイは、トーセイリート投資法人(3451)のスポンサーでもあります。主に、エクイティ型の案件を提供しています。

なお、CrowdRealtyは不動産特定共同事業を使わずに、独自のスキームで運営。具体的には、出資を受けたCrowdRealtyが不動産を所有する子会社に貸付を行い、不動産の運営を第三者に委託又は賃貸する。

不動産クラウドファンディングでは、不動産特定共同事業を活用することが多いけど、最近では、その仕組みを使わずに運営する事業者も現れてきたので、どのように投資家保護が担保されるのか、確認が必要だね。

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