今回は、総合型リートのインヴィンシブル投資法人(8963)の第27期(2016年12月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.invincible-inv.co.jp/cms/doc_table/20170622_1056265Hfm9.pdf
主な特徴など
東京グロースリート投資法人と聞いてとても懐かしく思われる方はいらっしゃるのではないでしょうか。この投資法人は、平成16年に大阪証券取引所に上場された総合型リートです。住宅を中心にオフィスと商業施設等を保有していました。
一方で、エルピーシー投資法人は、スポンサーが米国LPCである外資系リートです。こちらも住宅系を中心に運用を行う法人でした。両法人とも運用資産が小さく、リーマン後の今後の運営に行き詰まり感がでておりましたため、生き残りをかけて合併を行った経緯があります。
こうして生まれたのがインヴィンシブル投資法人(8963)ですが、合併した両法人ともに行き詰った者同士が一緒になってのスタートであっただけに、非常に前途多難な船出となりました。第15期から17期までに、経常赤字を計上し、1口当たりの分配金も地を這う展開が第22期くらいまで続きました。
ホテルに活路
正直いいまして、あとはどこかの法人が骨を拾うしかないというのが当時の投資家目線であったと思います。この法人がギリギリのところで活路を見出したのは、ホテルを次々と購入したところからです。当時は、ホテルの稼働率が上昇し、オリンピックも決定ということで、ビジネスや観光ホテルを次々と購入しています。
ビジネスホテルや観光ホテル物件は、景気に左右されやすいアセットですから、やはりホテル専門リートでの運用がよいのでしょうが、この投資法人にとっては、そこが最後の生き残り策であったように思います。
直近の業績は?
では、第21期(2016年12月期)の業績ですが、決算説明会資料の6ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||
第26期 | 第27期 | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
営業収益 | 8,158 | 9,511 | +1358 |
営業利益 | 5,073 | 5,934 | +861 |
経常利益 | 4,364 | 5,431 | +1067 |
当期純利益 | 4,363 | 5,431 | +1068 |
1口当たり利益超過分配金 | 61 | ||
一口当たり分配金 | 1,186円 | 1,477円 | +291 |
第27期(2016年12月期)は、第26期に取得した13物件の通期寄与等により引き続きの増収増益となりました。13物件のうち11物件がホテルということで、ホテルが高稼働率のうちは、面白いくらいに増収しているという感じになっています。
また、第26期までは、物流施設か老人ホームの投資法人で主に実施されている利益超過分配金が実施されていましたが、第27期からはなくなっています。
今後の業績予想
次に、第28期(2017年6月期)及び第29期 (2017年12月期)の業績予想です。決算説明会資料には、見当たりませんでしたので、決算短信からの数値です。
(単位:百万円) | |||||
第27期 | 第28期 (2017年6月期) |
第29期 (2017年12月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 9,511 | 9,285 | △226 | 10,498 | +1213 |
営業利益 | 5,934 | 5,268 | △666 | 6,245 | +977 |
経常利益 | 5,431 | 4,590 | △841 | 5,652 | +1062 |
当期純利益 | 5,431 | 4,589 | △842 | 5,651 | +1062 |
1口当たり利益超過分配金 | 55 | 21 | |||
一口当たり分配金 | 1,477円 | 1,240円 | △237 | 1,481円 | +241円 |
第28期(2017年6月期)は、減収減益が予想されていますが、この投資法人では、ホテルの業績に連動する変動賃料スキームを導入されており、宿泊需要が強い12月期(7月~12月)の賃料収入が高くなるものです。
こうしたホテル需要の要因と2017年3月に購入する新規取得物件の通期寄与もあり、第29期 (2017年12月期)は、再び増収増益となるとのことです。また、1口当たり利益超過分配金も復活するようですね。
主な投資指標
最後に、主な投資指標です。
29.7.4現在の投資口価格46,700で、ホテル需要を加味し、第28期及び第29期の中間をとって分配金1,360円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約5.8%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約3.7%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、0.94%です。
また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間6,530,798千円でありますから、1口あたりFFOが24,549円程度となり、投資口価格の約7.0%です。
決算短信
http://www.invincible-inv.co.jp/cms/doc_table/20170321_13343802tZR.pdf
賃貸NOI(半期) 8,414,465千円
取得価格総額 266,619,000千円
FFO(半期) 7,496,069千円
口数 3,675,824口
・本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
・リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
・キャッシュフローを追え! FFOを理解する。
投資主の状況
個人・その他 7.7%
金融機関(証券会社含む)39.8%
その他国内法人 21.9%
外国人 31.6%
当然ですが、経常赤字を出していた頃は、金融機関の保有比率が非常に低かったのですが、個人と入れ替わる形で、保有比率が上昇しています。
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