今回は、オフィス系リートであるヒューリック投資法人(3295)の平成28年7月期(第5期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.hulic-reit.co.jp/file/top-878c4e5184ad007cd6ea39f570db18aed24ba65b.pdf
主な特徴など
こちらの法人は、その名のとおり、ヒューリック(3033)が運営しているオフィス・商業に加えて、ホテル、老人ホームも所有している複合型リートです。
3ページのサマリーを見ていただくと分かるように、足元の稼働率がなんと100%です。主要物件がオフィスビルで稼働率100%というのは、とてもリーシング上手ということでしょう。第4期、第5期と物件を増やしながらの稼働率なので、取得する物件を厳選しているか、主な取得先であるヒューリック保有の段階でリーシングがしっかりされているということでしょう。
直近の業績は?
14ページには、損益計算書が掲載されています。第5期においては、新規物件の取得が大きく寄与し、1,000百万の増収でした。公募増資により口数も増えていますが、1口あたりの分配金も2,969円→3,143円へと増加しています。
(単位:百万円) | |||
第4期 | 第5期 | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
賃貸事業収益 | 4,819 | 5,825 | +1,005 |
賃貸事業費用 | 1,615 | 1,802 | △186 |
賃貸事業利益 | 3,203 | 4,023 | +819 |
営業利益 | 2,667 | 3,382 | +715 |
経常利益 | 2,319 | 3,008 | +689 |
当期純利益 | 2,318 | 3,007 | +689 |
一口当たり分配金 | 2,969円 | 3,143円 | +174円 |
既存物件の稼働率の高さも効いているのですが、9ページにもありますように、第5期末では、99%の稼働率、足元では、100%という稼働率となっているとともに、賃料の更改実績においては、第4期、第5期と減額実績がなしとなっています。SIA不動産投資法人(3290)では、保有するオフィスビルの賃料減額が止まらず、分配金が減り続けておりましたが、対照的です。これがリーシング力の違い、物件力の違いということでしょう。
今後はどうなる
15ページにありますが、続く第6期も新規物件の収益通期化が寄与し、増収の分配金も増の3,220円です。もともとの予想では、増収の分配金減の3,100円という予想でしたが、物件の取得により当期純利益が増えるところまでもっていきました。
(単位:百万円) | |||
第5期 | 第6期 | ||
実績 | 予想 | 前期比 | |
賃貸事業収益 | 5,825 | 6,646 | +821 |
賃貸事業費用 | 1,802 | 2,091 | △289 |
賃貸事業利益 | 4,023 | 4,555 | +531 |
営業利益 | 3,382 | 3,801 | +419 |
経常利益 | 3,008 | 3,366 | +357 |
当期純利益 | 3,007 | 3,365 | +357 |
一口当たり分配金 | 3,143円 | 3,220円 | +77円 |
注目は、続く第7期だと思いますが、こちらも現時点では、増収ですが、分配金減の3,150円といった予想になっています。稼働率が100%ということは、いわゆるベストコンディションですから、それ以上の上振れ要因はないことになります。次は退去しかないわけですが、こうした退去を見込むとともに、修繕費や固都税の開始を併せ、営業利益が減る見込みです。
稼働率100%で運営面では、ベストなわけですから、満室達成以降の今後は退去や物件の劣化ということで、減益を見込むのは、不動産投資の宿命とも言えます。大規模な改修を行い、賃料が上がることもありますが、それが見込める物件があることが必要になります。残る内部成長、収益が上がる要因としては、賃料の値上げでしょう。
24ページには、賃料更改による内部成長に関することが掲載されています。第6期が賃料の値上げ期待ができる割合が一番多いとされていますね。ですが、第7期以降、割合的にはぐっと減ります。この点においても、第7期以降は、やはりある程度外部成長に頼ることになるのかもしれません。法人としては、23ページにあるように、引き続きスポンサーであるヒューリックが開発した物件を中心に取得していく方針です。
以上から、第7期の分配水準3,150円を基本としつつ、今後の推移は、物件取得による外部成長次第(+α財務戦略)といったところでしょう。
コメント
この記事へのコメントはありません。
コメントする