今回は、物流施設を保有運営するGLP投資法人(3281)の第9期(2016年08月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.glpjreit.com/site/file/tmp-pzBuN.pdf
主な特徴など
GLP投資法人(3281)は、2012年に上場され、GLPジャパン・アドバイザーズ株式会社を運営会社としています。この会社の株主は、100%GLPの子会社グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社ですから、実質的なスポンサーは、GLPです。
ちなみに、GLPは、グローバル・ロジスティック・プロパティーズと読みます。GLPは、日本と中国、米国にて物流施設を開発・運営するシンガポールの上場企業です。
GLP投資法人(3281)は、物流REIT最大級の資産規模である4,428億円を保有運営しています。
直近の業績は?
さて、第9期(2016年08月期)の業績ですが、説明資料の5ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||
第8期 | 第9期 (2016年8月期) | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
営業収益 | 12,332 | 12,278 | △ 54 |
営業利益 | 6,510 | 6,328 | △ 182 |
経常利益 | 5,360 | 5,252 | △ 108 |
当期純利益 | 5,360 | 5,250 | △ 110 |
利益超過分配金 | 300 | 297 | △ 3 |
一口当たり分配金 | 2,367円 | 2,321円 | △46 |
第8期から第9期にかけては、減益となっています。6ページにも書いてありますが、2015年に取得した6物件にかかる固都税の費用化(117百万円)等の影響とのことです。この固都税の費用化が遅れてくることについては、またいつものごとく、スターアジア投資法人(3468)にて説明をしていますので、ご参考ください。
そして、今では外資系リートがたいてい取り入れている利益超過分配金についても、GLP投資法人(3281)は、Jリート市場において、先駆者でありますが、この利益超過分配金についても、サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)の記事をご覧ください。
この減益により1口あたり分配金も前期比46円の減配となりました。8ページにもありますとおり、4年連続の公募増資ということで、規模拡大を進めています。やはり独占的スポンサーであるGLP開発物件を中心に新規物件の取得を行っています。
第8期に取得している5物件は、平均NOI利回り4.9%ということで、当時のポートフォリオの同利回り5.6%からすると低めでありますが、平均築年数3.4 年という新し目の物件を入れてきました(当時平均13.3 年)。
今後の見通し
次に、続く第10期 (2017年2月期)及び第11期 (2017年8月期)の業績予想も説明資料30ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||||
第9期 | 第10期 (2017年2月期) |
第11期 (2017年8月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 12,278 | 14,015 | +1737 | 14,077 | |
営業利益 | 6,328 | 7,388 | +1059 | 7,288 | |
経常利益 | 5,252 | 6,201 | +949 | 6,098 | |
当期純利益 | 5,250 | 6,200 | +949 | 2,443 | |
利益超過分配金 | 297 | 306 | +9 | 306 | |
一口当たり分配金 | 2,321円 | 2,479円 | +158 | 2,443円 |
第10期 (2017年2月期)は、2016年9月1日付取得5物件による賃料収入の増加により増益(12,278→14,015百万円)を見込み、分配金も2,321円→2,479円と増になる予想です。
さらに、第11期 (2017年8月期)は、このまま新規物件の取得等の要因がなければ、2016年に取得した物件の固都税が計上され始めるため、営業利益減の分配金も2,479円→2,443円と微減となります。
説明資料の40ページには、上場以来の分配金推移が載っていますが、巡航ペースにのせた2013年8月期から2017年2月期までの上昇額は、240円となっています。4年連続公募増資をして、物件規模も上場来で倍になっている割には? と思われる方もいるのではないでしょうか。
このあたり、物流施設は、オフィスビルや商業施設に比べると、稼働率が安定している分、利回りが高くはありませんし、以前取り上げましたホテルリートのいちごホテルリート投資法人(3463)のように、ホテル変動賃料の増加で、その当期の分配金が370円も増えるという世界とは異なるわけです。
ですが、こうした物流施設系のリートの良いところは、稼働率が安定しており、GLP投資法人(3281)では、説明資料18ページにあるように、上場来減額改定なしとのことですから、安定要素としてのポートフォリオ組入れには当面、適しているのでしょう。
また、5年連続の公募増資はあるのかもしれませんが、上場来の推移を見ていましても、景気に大きな変動がない限り、安定した分配金を提供していくことのできる銘柄かと思います。
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