Real Estate Investment Trust
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不定期ですが、【Jリート考】と称しまして、リート投資家の方が今後のリート相場を考える上での材料となりそうな考え方などを紹介していきたいと思います。

今回は、NOI利回りを考えていきたいと思います。皆さんは、銘柄選びの際には、このNOI利回りをどの程度重視されてみえますでしょうか。NOI利回りは、Jリートの場合、NOI利回り=年換算NOI÷期末簿価、または年換算NOI÷不動産取得額で算出される場合が多いとされています。また、NOIとは、不動産賃貸利益+減価償却費のことをいいます。この場合の不動産賃貸利益は、必要経費控除後です。

このNOI利回りの分母を期末簿価というと、あまりしっくりとこないかもしれませんが、不動産取得額を分母として、現物不動産をイメージしていただくと解りやすいかと思います。現物不動産投資をされていない方は、少しイメージしていただきたいのですが、通常収益物件の購入を考えるとき、とりあえず表面利回りというのがよく表示されている最初の指標かと思います。その物件をいくらで購入して、年いくらの家賃があるのか、その単純利益を購入予定金額で割って、高いのか低いのか、たとえば、10%に満たないなら、その時点で購入不可など、一定の判断の入り口となっていますね。

つまり、NOI利回りが高ければ高いほど、購入物件の価格に対して、大きな収益が入るということになるわけですが、ここで留意が必要なのは、年換算NOI÷不動産取得額といったときに、分子が大きくなっても分子が小さくなってもNOI利回りが上昇するということです。分子が大きくなるということは、収入が大きくなるということなのですが、分子が小さくなるということは、その分物件の価値が小さくなるということですから、たとえば、物件が古くてリスクがあるということが考えられます。

このようにNOI利回りといえども、高ければ万事オッケーということでもありません。今は、NOI利回りが高くても古い物件ばかりでは、先々分子である物件の古さが起因して収入が少なくなるということも考えられるからです。ですから、他にも保有している物件の平均築年数だとか有利子負債比率とかいったところも併せて考慮に入れる必要があるものと思われます。

また、現物不動産においても同様ですが、家賃が高くても、それを運営するする側の手腕が足りなければ、実際の利益は低いものとなってしまいます。不動産の実務においては、実際の利益確定までには、物件の修繕や光熱水費など様々な費用が必要となり、入居の客付けは、物件の稼働率にも大きな影響を与えるわけですから、運用する投資法人の手腕も銘柄選定の大きな要素の1つとなります。

少し話がそれましたが、ここまでは、原則的なNOI利回りの考え方でありました。我々リート投資家がNOI利回りを考える際には、年換算NOI÷不動産取得額だけではなく、むしろその時々の投資口価格を考慮したNOI利回りが重要となってきます。これは、現物不動産投資とリートでは、我々投資家が購入した時の購入費用というものに違いがあるからです。

現物不動産投資の場合は、投資家自身がその時々の価格で物件を購入します。一方で、リートの場合は、投資法人が10年前に購入した物件を証券化を通じて10年後に投資家が購入することになるからであります。

このことから、NOI利回りといったことを考える際には、その時々の投資口価格を考慮したNOI利回りがより重要となってくるものと考えられます。たいへんNOIの高い銘柄といえども、投資口価格が必要以上に高騰していれば、投資口価格を考慮したNOI利回りとしては、低いと判断されるからです。

これを計算するのは、意外と簡単です。各投資法人がリリースしている決算や説明資料から不動産賃貸収入の額を確認し、時価総額で割るということになります。たとえば、日本ビルファンド投資法人(8951)の第28期を見てみましょう。

NOI 443億
資産規模 10,803億 →NOI利回り 4.1%
時価総額 7,582億 →投資口価格を考慮したNOI利回り 5.8%
予想分配金利回り 2.9%

各基礎数値は、日本ビルファンド投資法人(8951)の決算説明資料より。
http://www.nbf-m.com/nbf/ir/files/regurer/presentation_28th_period.pdf

(参考)REIT教室 powered by東証
https://site1.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_domestic&cat1=domestic&cat2=none&dir=info&file=domestic_reitstudy_130329.html

年間分配金÷1口あたりの投資口価格でも、投資家から見た利回りというのは、計算できるわけですが、投資法人自体の利回りなんかも計算してみると、たとえば、投資口価格を考慮したNOI利回りを見ると、日本リート投資法人(3296)の方が圧倒的に高くなっていますね。当然ですが、投資口価格が低いからです。このことからも日本ビルファンド投資法人(8951)よりも分配金の予想利回りが高いのは、日本リート投資法人(3296)の稼ぐ力がスゴイ高いからではなさそうで、投資口価格が低いからかなあとなります。

また、そうはいっても、投資口価格を考慮しないNOI利回りは、日本リート投資法人(3296)の方が若干高くなっています。これは、NOI利回りの分母が大きいのか、分子が小さいのか、おそらく平均築年数が結構高いので、分子が小さいのかなあ、分子が小さいということは、物件のリスクはより高いのかなあなど、いろいろ考えることができますね。

日本リート投資法人(3296)

NOI 92億
資産規模 2,046億 →NOI利回り 4.5%
時価総額 1,023億 →投資口価格を考慮したNOI利回り 8.9%
予想分配金利回り 5.4%

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