Real Estate Investment Trust
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リーマンショックのときに、不動産投資信託(JREIT)の投資口価格が投げ売りされるかのように急落していき、10%を超える利回り銘柄がゴロゴロと転がるように出現し、JREIT史上初の破たんをも生じさせた現象の根っこには、金融機関のJREITへの不信感がありました。

結果、借入金の借り換えをすることができず、破たんに至ったわけですが、その後、スポンサーに不安のある投資法人は、当然に売りたたかれることとなりました。

このように金融機関の融資が閉じる、閉じすぎることは不動産市況にとって、大きな影響を与えます。

以下は、日経新聞の記事です。

アパート融資 過熱警戒。金融庁、節税効果など調査 空室リスクに警鐘(日経新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDF13H02_T11C16A2EE8000/

相続税の節税目的でアパート経営に乗り出すケースが増えている。部屋の借り手が見つかれば問題ないが、首都圏や人口減の地方で空室が増える兆しが浮かんできた。地方銀行などによる関連ローンの残高も急増していることから、金融庁は融資の過熱感を懸念。節税効果が薄まり、アパート経営者の負担が増える恐れもあるため、近く金融機関を通じた実態調査に入る。(中略)金融庁は地方銀行105行を対象とし、特にアパートローンを伸ばす銀行などを抽出して年明けにも実施する。お金を借りる側に不利益な条件になっていないか調べる。(28.12.26 日経新聞)

低金利下において、不動産の現物投資への融資は、物件担保力がある事業ということで、また、ある程度の金利がとれるということで、近年、銀行としても積極的に融資をする傾向にありました。

融資が出やすいということは、物件がたくさん売れていくということでありますため、売り手優位の市場となり、よって物件の価格が高騰することで、利回りも低下することになります。

こうした物件価格が高騰した状態で、融資が出るからといった理由で、さらに物件を購入した場合には、利回りが低く、空き室がいくつか出ただけで、キャッシュフローが赤字となるという事態を招きます。

首都圏では、神奈川県など空室率が急上昇しており、アパート経営の知識もなく、甘い見込みで経営を始めた人も中にはおり、こうした破綻者が続出すると、銀行の債権が焦げ付く恐れがあるということです。

こうしたことを危惧した金融庁が今回の調査に乗り出すこととなったわけですが、銀行の今後の動向として、少なくとも当面は、ちょっと危なさそうな人への融資は絞ってくることは容易に予想されます。

そうなれば、危ない橋を渡る人が減ってああよかったねで終わるのか、健全なケースまで融資が受けれなくなる貸し渋りに陥るのか、又は、破たんしそうな人が物件を売る際に売れなくなるといった現象もあり得ます。

少なくともJREITについては、過去の教訓もあるでしょうから、金融庁も同じようなことを起こさないという認識はあろうかと思いますが、現物の不動産投資市況では、いまそのようなことが起き、来年は、今後の動向に留意が必要な年になりそうなのです。

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