今回は、オフィス型リートの日本ビルファンド投資法人(8951)の第31期(2016年12月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.nbf-m.com/nbf/sidemenu/files/Presentation_31st_Period.pdf
主な特徴など
日本ビルファンド投資法人(8951)は、平成13年にJリート第1号として上場されたオフィス専門型リートです。オフィスを専門に投資を行う投資法人です。
資産運用会社を日本ビルファンドマネジメント株式会社とし、スポンサーは、三井不動産です。資産運用規模は、全上場銘柄中ナンバーワンです。
このような最強投資法人であっても、リーマンショック後の分配金は一時1口あたり7,569円にまで落ち込んだことがあり、現在も2008年の水準にはまだ遠く及びません。
直近の業績は?
では、第30期(2016年12月期)の業績ですが、決算説明会資料の7ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||
第30期 | 第31期 | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
営業収益 | 35,671 | 35,849 | +177 |
営業利益 | 15,011 | 14,604 | △407 |
経常利益 | 12,808 | 12,521 | △287 |
当期純利益 | 12,808 | 12,520 | △287 |
圧縮積立金繰入額 | 951 | ||
一口当たり分配金 | 8,397円 | 8,867円 | +470 |
第30期及び第31期(2016年12月期)は、合計で5物件の新規取得を行っています。公募増資は実施せず、借入金と自己資金対応となりました。また、第30期には、2物件の売却を行っています。
この新規に取得した5物件のうち3物件は、第31期での取得ですから、通期寄与していませんので、前期の物件売却の影響で減収となるところですが、既存物件の増収があっての増収となっています。
なお、第30期では、圧縮積立金繰入額として、物件売却益の一部を積み立てしております。この結果、第30期の分配金がならされ、賃貸事業費用が増えた第31期に減配となるところを、増配基調を保つというメイキングをしています。
今後の業績予想
次に、第32期(2017年6月期)及び第33期 (2017年12月期)の業績予想です。決算説明会資料の11ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||||
第31期 | 第32期 (2017年6月期) |
第33期 (2017年12月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 35,849 | 36,050 | +201 | 36,352 | +301 |
営業利益 | 14,604 | 14,738 | +133 | 14,789 | +50 |
経常利益 | 12,521 | 12,708 | +187 | 12,849 | +140 |
当期純利益 | 12,520 | 12,708 | +188 | 12,849 | +140 |
一口当たり分配金 | 8,867円 | 9,000円 | +133 | 9,100円 | +100円 |
第32期(2017年6月期)は、前期の新規取得3物件が通期寄与するということで、増収増益となります。また、続く第33期 (2017年12月期)では、既存物件の増収により引き続きの増収増益です。
既存物件の増収は、第32期も第33期もあるのですが、季節要因として、6月期はマイナス、12月期はプラスという傾向があるようです。
今後の稼働率と賃料水準
説明会資料の15ページにもありますが、稼働率は、98.5%ということで、これ以上の上振れは難しいところにまで来ています。
また、同資料16ページにありますとおり、テナント入替や賃料改定による賃料水準の改善も次期第32期までは、ある程度見込んでいるようですが、第33期頃になると、このまま既存物件が伸び続けるのは難しい見立てがされているようです。
ですから、第34期以降の業績については、このまま物件取得等がなければ、大幅に上振れることもにないのではないでしょうか。逆に言えば、維持はできる、ということは言えそうですね。
主な投資指標
最後に、主な投資指標です。
29.7.10現在の投資口価格570,000で、第33期の予想分配金9,100円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約3.1%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約4.1%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、1.15%です。
また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間39,380,530千円でありますから、1口あたりFFOが27,889円程度となり、投資口価格の約4.8%です。
決算短信
http://www.nbf-m.com/nbf/sidemenu/files/tanshin_31st_period.pdf
賃貸NOI(半期) 22,997,169千円
取得価格総額 1,108,496,486千円
FFO(半期) 19,690,265千円
口数 1,412,000口
・本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
・リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
・キャッシュフローを追え! FFOを理解する。
投資主の状況
個人・その他 4.2%
金融機関(証券会社含む)62.0%
その他国内法人 6.2%
外国人 27.6%
やはり圧倒的に金融機関の保有比率が高いですが、当然ですね。
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