今回は、総合型リートのジャパンエクセレント投資法人(8987)の第21期(2016年12月期)決算をcheckしていきたいと思います。
決算説明会資料
http://www.excellent-reit.co.jp/site/file/tmp-LhQrp.pdf
主な特徴など
ジャパンエクセレント投資法人(8987)は、平成18年に上場された総合型リートです。オフィスを専門に投資を行う投資法人です。メインスポンサーは、新日鉄興和不動産株式会社です。平成24年に新日鉄都市開発と元興銀グループ系の興和不動産が経営統合された会社です。
この興銀グループというのは、旧日本興銀銀行を中心に据えた企業グループです。この日本興銀銀行は、第一勧銀銀行と富士銀行とともに、みずほフィナンシャルグループを設立しています。こうしたことから、この投資法人のスポンサーには、みずほ銀行とみずほ信託銀行が参加しているのです。
ジャパンエクセレント投資法人(8987)は、運用資産の90%以上をオフィスビルに投資し、10%を以下をその他商業施設等で運用することとしています。ですから、総合型リートといっても、オフィスビル中心型といった方が良いかもしれません。
直近の業績は?
では、第21期(2016年12月期)の業績ですが、決算説明会資料の7ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||
第20期 | 第21期 | ||
実績 | 実績 | 前期比 | |
営業収益 | 10,223 | 10,653 | +429 |
営業利益 | 3,982 | 4,221 | +238 |
経常利益 | 3,113 | 3,407 | +238 |
当期純利益 | 3,112 | 3,406 | +238 |
一口当たり分配金 | 2,462円 | 2,609円 | +147 |
第21期は、マンサード代官山の新規取得により増収増益となりました。マンサード代官山は、代官山のメインストリートである「八幡通り」に面しているオフィス・商業の複合ビルですが、スポンサーである新日鉄興和不動産株式会社からの物件取得です。
ジャパンエクセレント投資法人(8987)では、今回、マンサード代官山を取得するにあたり、公募増資を実施しています(いったん借入金と自己資金で購入後公募増資の資金を投入)。この公募を実施していた昨年の6,7月あたりは、東証リート指数が1850ポイント程度あり、タイミングが良かったと言えます。
今後の業績予想
次に、第22期 (2017年6月期)及び第23期 (2017年12月期)の業績予想が決算説明会資料の9,10ページに掲載されています。
(単位:百万円) | |||||
第21期 | 第22期(2017年6月期) | 第23期 (2017年12月期) |
|||
実績 | 予想 | 前期比 | 予想 | 前期比 | |
営業収益 | 10,653 | 10,586 | △66 | 10,453 | △133 |
営業利益 | 4,221 | 4,119 | △101 | 4,016 | △103 |
経常利益 | 3,407 | 3,421 | +14 | 3,327 | △93 |
当期純利益 | 3,406 | 3,420 | +14 | 3,326 | △93 |
圧縮積立金取崩額 | 107 | ||||
一口当たり分配金 | 2,609円 | 2,620円 | +11 | 2,630円 | +10円 |
第22期 (2017年6月期)は、マンサード代官山の固都税費用化や既存物件などの費用増により減収減益となる見込みです。
一方で、このままですと、減配になるところでありましたが、借入金の借換による金利コスト低減と融資関連手数料の減、その他営業外費用の減などのファイナンス関連のコスト減を積み上げて、ぎりぎり純利益増→微増配という、分配金メイクのベテラン技をみせています。
なお、固都税の費用化が遅れてやってくることについては、以下の記事でも説明しておりますので、ご参考ください。
【5月決算REIT】昨今、オフィスと商業用施設両輪で積極的な物件取得を進めるアクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)の業績をcheck!
続く第23期 (2017年12月期)には、芝二丁目ビルデングの大口テナント退去という減収要因を控えており、引き続きの減収減益を見込んでおりますが、これもまた圧縮積立金取崩額という大技で、微増配という土俵際の踏ん張りですね。
これは、老舗の投資法人ほど、安定的な分配金の推移をつくることの重要さを知っているということでしょう。個人投資家や銀行などの金融機関に認められてこその投資口価格です。
主な投資指標
最後に、主な投資指標です。
29.7.14現在の投資口価格121,100で、第23期以降芝二丁目ビルデングの大口テナントが埋め戻されると予想した場合の予想分配金2,630円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約4.3%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約4.7%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、1.03%です。
また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間10,726,518千円でありますから、1口あたりFFOが8,215円程度となり、投資口価格の約6.7%です。
決算短信
http://www.nbf-m.com/nbf/sidemenu/files/tanshin_31st_period.pdf
賃貸NOI(半期) 6,760,862千円
取得価格総額 286,997,000千円
FFO(半期) 5,363,259千円
口数 1,305,700口
・本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。
・リート(REIT)の3つの価値から投資指標の1つであるNAV倍率を考える。
・キャッシュフローを追え! FFOを理解する。
投資主の状況
個人・その他 5.7%
金融機関(証券会社含む)72.1%
その他国内法人 8.9%
外国人 13.3%
金融機関の保有比率が高いのが特徴的です。一方で、外国人投資家の保有比率は高くないです。
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