Real Estate Investment Trust
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今回は、オフィス特化型リートの大和証券オフィス投資法人(8976)の第22期(2016年11月期)決算をcheckしていきたいと思います。

決算説明会資料
http://www.daiwa-office.co.jp/site/file/tmp-BLA8z.pdf

主な特徴など

大和証券オフィス投資法人(8976)は、もともとDAオフィス投資法人として平成17年10月に上場となりました投資法人です。当時の資産運用会社は、株式会社ダヴィンチ・セレクトとなっており、スポンサーは、ダヴィンチホールディングスです。

ダヴィンチホールディングスは、不動産ファンドブームに乗って国内最大の不動産ファンド運用会社となった上場会社でした。平成21年に債務超過となり、翌年に上場廃止となっています。

投資家の巨額資金に溺れたダヴィンチ上場廃止の“落日”(diamond)
http://diamond.jp/articles/-/8415

思えば、リーマンショックが平成20年9月ですから、上場3年後に試練を迎えたわけですが、スポンサーが倒れるとともに、大和証券グループ本社に引き継がれています。その際に、投資法人の名称もDAオフィス投資法人から変更となりました。

そして、現在の資産運用会社が大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社であり、スポンサーは、100%大和証券グループ本社です。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社は、他にも日本ヘルスケア投資法人(3308)の資産運用も行っています。

直近の業績は?

では、第22期(2016年11月期)の業績を確認してみましょう。決算説明会資料の7ページです。

(単位:百万円)
第21期 第22期
実績 実績 前期比
営業収益 12,363 12,853 +489
営業利益 6,108 6,143 +35
経常利益 5,326 5,325 △1
当期純利益 5,250 5,324 +74
一口当たり分配金 10,508円 10,695円 +187

第22期に取得した物件4つと前期に取得した物件2つの計6件による賃料上乗せにより大幅増収となっています。既存物件(47件)でも+117百万寄与していますので、オフィス環境の改善がみられます。

一方で、第22期と前期とで売却した3物件の賃料が減となり、増えた物件にかかる固都税や外注費等が増えましたので、営業利益の増も限定的となりましたが、分配金はしっかりと増やしてきています。

過去の分配金推移が決算説明会資料の5ページに掲載されていますが、ここまで順調に増えてきていますと、今後も引き続き増やしていかざるを得ない状況にさえ感じられるところです。

前記に、売却益を圧縮積立金として留保していますので、そういったものも活用しながら運営をしていくのでしょう。

【リートの基本】リートの分配を一部繰り延べる圧縮積立金とは?





今後の見通し

次に、続く第23期及び第24期の業績予想ですが、決算説明会資料の8ページです。

(単位:百万円)
第22期 第23期
(2017年5月期)
第24期
(2017年11月期)
実績 予想 前期比 予想 前期比
営業収益 12,853 12,462 △390 12,655 +193
営業利益 6,143 6,109 △34 6,051 △57
経常利益 5,325
当期純利益 5,324 5,327 +2 5,332 +5
一口当たり分配金 10,695円 10,700円 +5 10,710円 +10

第23期は、前期までに取得した物件の通期寄与といった増収要因もありますが、前期までの売却益や既存物件の増収が一服となる見込みで、営業減収となるようです。

一方で、修繕費の減などの運用コストを引き締めることで、営業減益幅を縮小し、なんとか分配金を微増で着地させるという方向です。

また、続く第24期も運用コストの拡大や第22期取得物件等の固都税の開始により営業減益が予想されていますが、こちらも支払利息の減を見込み、分配金維持となる予想となっています。

凡事徹底ということで、決算説明会資料の17ページには、珍しく担当者らの写真と氏名付きで、内部成長に気合いを入れていることがアピールされています。

また、Jリート銘柄の保有する不動産で、最大規模の新宿マインズタワーの稼働率も今年11月99.9%となる見込みです。この物件は、DAオフィス投資法人の頃から心配のタネの一つでもあり、良くも悪くもこの投資法人の業績を大きな影響を与える物件ですから、今後も注視していきたいところです。

主な投資指標

最後に、主な投資指標です。

29.5.21現在の投資口価格572,000で、第24期の分配金10,710円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約3.7%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約3.8%です。また、japan-reitで公表されている直近NAV倍率は、0.96%です。

また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間134,945,250千円でありますから、1口あたりFFOが28,009円程度となり、投資口価格の約4.8%です。

決算短信
http://www.daiwa-office.co.jp/site/file/tmp-zJyE6.pdf

賃貸NOI(半期) 8,902,295千円
取得価格総額 467,749,000千円
FFO(半期) 6,972,625千円
口数 497,869口

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