Real Estate Investment Trust
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今回は、ホテルリゾート系リートの星野リゾート・リート投資法人(3287)の第7期(2016年10月期)決算をcheckしていきたいと思います。

決算説明会資料
http://www.hoshinoresorts-reit.com/site/file/tmp-4KQhY.pdf

主な特徴など

星野リゾート・リート投資法人(3287)は、知らない人もあまりいないと思いますが、星野代表率いるホテル星のやで有名な株式会社星野リゾートがスポンサーとなっています。星野リゾートグループの運営する「星のや」、「星野リゾート 界」及び「星野リゾート リゾナーレ」の3つのブランドを中心に保有し、運営していくことが方針に掲げられています。

運営会社は、星野リゾート・アセットマネジメントということで、2013年7月に上場となりました。株主優待制度があり、投資口1口当たり1枚で税込2,000円相当の割引となる投資主優待券が配布され、上限が投資主1名当たり10枚となっています。

直近の業績は?

では、第7期(2016年10月期)ですが、決算説明会資料の3ページに掲載されています。

(単位:百円)
第6期 第7期
実績 実績 前期比
営業収益 3,559 3,981 +422
営業利益 1,914 2,097 +183
経常利益 1,601 1,816 +216
当期純利益 1,600 1,815 +215
一口当たり分配金 20,520円 22,209円 +1,689

第7期(2016年10月期)は、ホテル界加賀を取得したことによる増収と既存物件の売り上げ増により変動賃料が順調でありました。

既存のホテル業績も非常に好調とのことで、決算説明会資料の10ページには、平成28年5月から平成28年10月にかけて、前年同時期約51百万円の売上増加となっています。特に、星のや軽井沢が際立ってますね。

また、チサンインなどANAクラウンプラザといった、いわゆる星のや以外物件も好調で、メインの星のやに負けず劣らずの業績です。

界加賀の公募増資

ホテル界加賀の取得にあたり、28年4月において、発行価格1,249,594円公募増資を行っています。
http://www.hoshinoresorts-reit.com/site/file/tmp-S8jY3.pdf

この公募増資を行った28年4月は、東証リート指数1900超えという非常に市況の良好なタイミングでした。28年度一番の絶好のタイミングと言えるでしょう。

そのタイミングも手伝って、発行価格1,249,594円(分割後の624,797円)という価格を付けました。1年後の今でしたら、100万そこそこかもしれませんね。1口当たり純資産額445,516円を上回るプレミアム増資となっています。

【リート考】リートにおける良い増資(PO)と悪い増資の見定め方。





今後の見通し

次に、平成29年4月期(第8期)・平成29年10月期(第9期)の業績予想ですが、資料の21ページに掲載されています。

(単位:百万円)
第7期 第8期
(2017年4月期)
第9期
(2017年10月期)
実績 予想 前期比 予想 前期比
営業収益 3,981 4,462 +481 4,417 △45
営業利益 2,097 2,261 +164 2,181 △80
経常利益 1,816 1,895 +79 1,897  +2
当期純利益 1,815 1,894 +79 1,897 +3
一口当たり分配金 22,209円 11,584円 11,602円 +18

※第8期より、株式分割後(1口→2口)ベース

平成29年4月期(第8期)は、28年11月に取得したハイアットリージェンシー大阪(160億円)の収益が追加となり、大幅増収となります。22ページにある個別物件ごとの業績予想にもありますが、このハイアットリージェンシー大阪は、100%変動賃料(利益連動)ということで、平成29年4月期(第8期)の全収益4,462百万のうちの387百万を占めることになります。

非常にこの物件の運営状況が大きく投資法人全体の業績に影響を及ぼすことになりそうです。星野リゾート・リート改め、ハイアット・リートと言ってはどうでしょう。このハイアットリージェンシー大阪の取得には、いまだ低水準緒LTVを活用し、借入金にてまかなっています。

また、平成29年10月期(第9期)では、ハイアットリージェンシー大阪の固都税が開始になることなどから、営業費用が増加し営業利益は減益となる見込みです。ですが、経常利益を見ていただくと分かるように、前年度プラスとなるわけですが、これは支払利息その他の借入関連費用が366百万円から283百万円へと大きく削減されることによるものです。

第9期は、12ページにもありますとおり、2,325百万の借入金が返済期を迎えます。この借入は、27年に借り入れたものですが、この頃の金利が1.82%で、直近平成28年11月の借入金利実績が0.92%ですから、相当程度の改善を見込んでいるものと思われます。

直近の公募増資リリース

さて、直近29年4月に1年ぶりとなる公募増資が発表されましたので、ふれておきます。
http://www.hoshinoresorts-reit.com/site/file/tmp-rueeU.pdf

山梨県にある「星のや富」を41億円ということで、界加賀の31億、ハイアットリージェンシー大阪160億円に続く取得となります。今回の物件も界加賀と同程度の利回りとなりそうです。

今回の物件取得により、第9期(2017年10月期)の業績予想が修正、1口当たり分配金が11,602円から11,835円と増えます。市況は決して良くない中での増資ですが、発行価格は、1口当たり純資産額455,052を超えてくるのではないでしょうか。

主な投資指標

最後に、主な投資指標です。

29.4.14現在の投資口価格570,000で、直近の物件取得を考慮し、第9期の分配金11,835円を巡航分配ペースと仮定します(さらなる物件取得やリーシングの進捗は見込まず。)。その場合、分配金利回りは、約4.1%となります。本決算時点でのNOI利回り(取得価格ベース)は、約7.2%です。また、japan-reitで公表されているNAV倍率は、1.07%です。

また、当期純利益と減価償却費の合計値であるFFOは、年間5,295,340千円でありますから、1口あたりFFOが64,769円程度となり、投資口価格の約11.3%です。

いずれも高めの数値となっていますが、ホテル特化型銘柄は、ホテルの業績の上下に大きく影響を受ける可能性もありますので、月次報告を確認していくとよいでしょう。
http://www.hoshinoresorts-reit.com/ja_cms/portfolio/review.html

決算短信
http://www.hoshinoresorts-reit.com/site/file/tmp-7r6zx.pdf

賃貸NOI(半期) 3,384,800千円
取得価格総額 93,182,000千円
FFO(半期) 2,647,670千円
口数 81,757口

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