Real Estate Investment Trust
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今回は、3つの投資法人が合併して設立された野村不動産マスターファンド投資法人(3462)の2016年8月(第2期)決算をcheckしたいと思います。

決算説明会資料
http://www.nre-mf.co.jp/file/term-67a545ade53cd9a27c00ea01aab650048a2d5432.pdf

野村不動産マスターファンド投資法人(3462)は、2015年5月に旧野村不動産マスターファンド投資法人、野村不動産オフィスファンド投資法人および野村不動産レジデンシャル投資法人が合併してできました。順に、商業物流施設系、オフィスビル系、住居系のリートでしたので、結果、この3法人が合併することで、総合型リート型が出来上がりました。

また、2016年6月、当時不振にあえいでいた旧トップリート投資法人を吸収合併し、さらに巨大化しています。この旧トップリート投資法人は、メインスポンサーが三井住友信託銀行でしたので、リーマンショック後の借り換え信用不安に襲われる投資法人が散見される中、スポンサーが金融系ということで、ある程度底堅い銘柄でした。

ただ、こうした信用不安が一定収まった頃に、リーシング力の違いが露呈し、大口テナントの連続退去による収益の悪化が目立つようになりました。運営会社の後ろ盾が、金融機関である場合、投資家としても、ファイナンスの問題は非常に心強いのですが、リーシング力や外部成長力ということには、なかなか厳しいものを感じざるを得なかった印象です。

野村不動産マスターファンド投資法人(3462)は、こうした不振が続いていたトップリート投資法人を吸収合併しています。

さて、説明資料の4ページには、第2期の業績概要が掲載されています。

(単位:百万円)
第1期 第2期
実績 実績 前期比
営業収益 24,313 30,976
営業費用 17,830 19,293
営業利益 6,483 11,682
営業外費用 2,442 2,330
経常利益 4,050 9,356
当期純利益 4,048 9,355
一口当たり分配金 2,219円 3,036円

第2期は、物件の売却より、大幅増益となり、分配金も2,760円→3,036円への上昇修正となりました。トップリートとの合併関連費用も375百万かかったため、押し下げにはなりましたが、売却益で吸収してなお増益という結果です。

また、運営面では、9ページにもありますとおり、保有するオフィスビルの賃料水準が2015年を底に上昇基調にあるとのことで、第2期末時点で平均賃料単価16,832円となりました。特に、新宿野村ビルでは、800坪超の解約予告を受領したものの、600坪超のリースアップを完了し、入替区画の賃料単価上昇率は、32.1%だったという成功事例もあげられています。また、FR(フリーレント。無償貸与)付与期間が4.2ヶ月から2.2ヶ月へと短縮されたということで、この点もポジティブです。

次ページには、ほかのアセットの情報が掲載されていますが、住居系の物件では、賃料の増額改定割合が増えているとのことですし、商業や物流施設の状況も良好と書かれています。このあたりは、つぶさに見ていくには、物件の数がだいぶ多くなってきた銘柄ですので、大変なところですが、資料を信じるのであれば、問題はないとのことになっています。

ファイナンスにつきましては、第2期末の平均借入金利が1.03%となっており、まだ下がる余地はあるように思えます。実際に、第2期にリファイナンスした事例では、平均金利0.97%から0.53%、平均借入年数3.8年から8.5年ということですから、同じように、今後のリファイナンスもまだ改善できる借入がありそうだという点では期待できると思います。

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今後の見通し

次に、4ページに戻って、続く第3期の業績予想を見てみます。

(単位:百万円)
第2期 第3期
実績 予想 前期比
営業収益 30,976 34,527 +3551
営業費用 19,293 23,635 +4341
営業利益 11,682 10,892 △790
営業外費用 2,330 2,734 +404
経常利益 9,356 8,157 △1,199
当期純利益 9,355 8,156 △1,199
一口当たり分配金 3,036円 2,905円 △131

第3期では、トップリート投資法人との合併による賃貸事業収入の大幅増加が大きく寄与し、大幅な増収となります。一方では、規模が増えた分の営業費用が膨らむことと、前期に計上した物件の売却益がなくなるため、経常利益は減となり、分配金も下がる結果となります。

これは、合併したことによる減益ではなく、前期の第2期にあった売却益がなくなることの影響が大きいということですので、第2期が特別だったということです。今後は、この2,905円が基本線となると思われますが、合併が続いてきましたので、不確定要素があるでしょうし、スポンサー体制の変化により、物件の稼働率やリファイナンスなど改善の余地が生じてきているので、上振れ余地もあり、その他の合併に伴う一時的な損失などが生じれば、その逆もあり得るかと思われます。

補足:「のれん」とは

なお、旧トップリート投資法人から受け継ぐ資産は、1,374億円にものぼりますが、この資産の取得には、「のれん」が発生するとのリリースがでています。これについて、少し説明をしておきたいと思います。

http://www.nre-mf.co.jp/file/news-2415163471a1c8638eb94ead17309ff594c87920.pdf

この「のれん」とは、合併時における会計上の被取得企業(TOP)の時価純資産に対し、会計上の取得企業(本投資法人)による取得価額が上回った場合の、その差額をいいます。説明資料の4ページの営業費用にある「のれん償却」という勘定科目で、第2期に、1,946百万円が費用計上されていますが、これは、旧野村3投資法人が合併した際に、生じた「のれん」です。総額74,305百万円ですが、これが定額法により分割費用計上されます。

よく「負ののれん」ということで、例えば、アドバンス・レジデンス投資法人(3269)などが分配金に分割して上乗せしているのですが、これは、「のれん」とは逆に、利益です。簡単に言ってしまいますと、「負ののれん」は、時価よりも安く取得できたので、その分が利益として積み上がり、それを少しずつ分配金に上乗せして支払いますということになります。「負ののれん」のことは、古い記事ですが、当ブログでも少しずつ触れています。わたしは、「負ののれん」銘柄を中心に保有していた時期もあります。

Jリートの分配金の安定性と負のれんについて

アドバンス・レジデンス投資法人(3269)の第5期決算

平和不動産リート(8966)が第23期決算発表。負のれんに注目。

今回の野村不動産マスターファンド投資法人(3462)の場合は、いわゆる「正ののれん」ですから、時価よりも高く取得したので、その差額を分割して費用計上しますというものです。本来ですと、その費用計上した分だけ、分配金が少なくなってしまうことになります。ですから、それだと申し訳ないので、法人としては、利益を超過して分配を行うことにより、分配金が減ることなく、支払いますということにしているわけです。

なお、この利益超過分配金って何? については、サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)の記事でも少し書きましたので、ご参考ください。

【1月決算REIT】サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)が好利回りであるワケと今後。

アドバンス・レジデンス投資法人(3269)などは、リーマンショック後のゴタゴタ期に合併したので、負ののれんが生じるような合併ができたわけですが、昨今は物件の価格も高騰してきておりますので、なかなか負ののれんとはいかず、のれんが生じたということでしょう。

以前までの合併事例は、負ののれんが生じる救済的な合併しかなかったわけですが、この野村3投資法人の合併は、2015年度の税制改正でのれん償却費を営業費用として計上できるようになり、のれんが生じる合併を行っても90%配当要件の維持が可能となったことによる合併だったのです。

ですから、この投資法人に投資をするにあたっては、こうしたことも認識した上で、判断しましょう。

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