Real Estate Investment Trust
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最近よく日経新聞の紙面をにぎやかしているのは、高利回りを売りにしてきた毎月分配型の投資信託減配の記事ですね。本日の日経新聞では、マネー特集的な扱いではなく、普通の紙面に毎月分配型の記事が出ていました。ここ一年の円高による運用難が響いているといった内容です。

この毎月分配型海外REIT投信の減配のことは、先日取り上げたばかりです。

高利回りをうたう海外リート(REIT)型投信の減配が続く。新光US―REITオープンのレポートを見てみます。

毎月分配型の海外REIT型投資信託は、本当に今、やばいのか


このことを考えるために、原則分配金を支払わない非分配型海外REIT投信を見てみましょう。

フィデリティ・USリート・ファンド(資産成長型)D(為替ヘッジ)は、分配金を払わないタイプで、為替ヘッジなしなので、為替の影響をモロ受ける投資信託です。

https://www.fidelity.jp/static/pdf/fund/5111867-FDRDY/Reports/Monthly/FDRDY-MF-201609.pdf
https://www.fidelity.jp/static/pdf/fund/5111867-FDRDY/Reports/Monthly/FDRDY-MF-201610.pdf

直近の2016年10月と11月のレポートを見てみますと、それぞれ9月中には、基準価格暴落額において、REITの価格変動と為替変動のダブルパンチで、△528円となっており、続く10月中には、REIT自体に起因する変動により1,152円もの下落、トータルでも△613円でした。そして、最新の月次レポート12月分でも11月末の基準価格は、15,376円となっていますため、16,000円を超えていた2015年1月からヨコヨコもしくは下落といった流れが継続しています。

つまり、毎月分配型のここ最近の利回りはひどいもんだということになっていますが、非分配型であっても別にパフォーマンスがよいわけではないことになります。

もう一つ代表的な海外REIT型投信であるeMAXIS 先進国リートインデックスも見てみますと、2015年3月に記録した基準価格高値27,159円に対して、2016年11月は、24,434円となっており、いくぶん戻した最新の基準価格でも26,143円となっています。

http://emaxis.muam.jp/pdf/geppou/250939/250939_201611.pdf

海外REIT投資信託の成績の軟調はいつから?

過去わたしが見てきました範囲では、海外REIT投資信託というのは、市場の大きさによって組み入れ率がどうしても米国リート中心になっており、一部の地域特化型投信は別として、先進国リートをうたっていたとしても、ほぼその実態は米国リート投信に近いものがあります。

ちなみに、eMAXIS 先進国リートインデックスがベンチマークにしている「S&P先進国リート指数」は、2015年1月の水準から、途中上下はあるものの、結果そんなに上昇していません(1000→1025)。

http://t2.jiji.com/linkbox?area=BODY&FWCS=jaguar&pageID=LB1871_BRAND_SUMMARY&userID=mufg-am&brandID=SPCI-GREIT_TR-USD&chart=1&srcID=navi#content

また、ドル円も2015年夏ごろから1年間円高の流れであったため、これも海外REIT型投信には、厳しい環境が続いたことになります。

こうした海外REIT型投信にとっての向かい風が継続したがために、毎月分配型の減配という形になって、ついに耐えきれなくなったマグマ的なものが表面上現れたのでありまして、海外REIT型投信がいま何かやばくなったというわけではありません。

ですから、例えば、非分配型のeMAXIS 先進国リートインデックスを保有していた人にとっては、いやいや、前々からヨコヨコですよ、むしろ最近の円安でちょっと浮上の兆しがあるよ、ということになろうかと思います。実際、12月,1月と基準価格は上昇してきています。

また、保有していない人にとっては、そもそももっと早く逃げておくべきだったのでは、毎月分配型の減配があってからハッとしても、気づくの1年以上遅れてませんか、ということなのかもしれません。

結局どうなのか

ここまでいろいろと見てきましたが、結局は、大雑把に言ってしまうと、分配金の金額の大小は、分配金として多く外に出てくるか、来ないかの違いですから、これが減ったとか増えたということではなく、トータルとして、海外REITの相場はどうなっているのか、ドル円はどうなっているのか、ということ自体を考える方がずっと重要なことだと思います。

分配金が減ったということは、元本の払い戻しが減るということになりますので、基準価格の低下が少し緩やかになるということでもあります。そして、毎月分配型の投資信託は、なるべく減配はしないように粘るわけですから、減配したときには、すでにここ1年くらいの相場の悪化を反映しているとも考えられますので、投資家としましては、過去のことよりも、今後どうなるのかということを考えて動く必要があろうかと思います。

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