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今回は、これから現物不動産投資、つまり大家さんになりたいと思っている人向けに、まずはリート投資から初めてみてはいかがでしょうかという話を書いていきたいと思います。

実際に、わたしtisanは、リートから投資を始め、途中から現物不動産も組み合わせた投資を進めてきました。リートに投資する中で、現物の不動産投資を間接的に学ぶことができ、そのことが現物不動産投資に踏み出すきっかけとなっています。

投資法人が決算ごとに作成する決算説明会資料を読んでみよう

投資法人の投資主になると、決算ごとに郵送で事業報告が送られてきます。また、これも決算ごとですが、各投資法人のホームページには、決算説明会資料が掲載されます。この誰でも閲覧できる決算説明会資料には、不動産投資のやり方やヒントがちりばめられているのです。

以下は、アドバンス・レジデンス投資法人(3269)の決算説明会資料です。以降、この資料をもとに、現物不動産投資をどうイメージしていくことができるのかを辿っていきたいと思います。
http://www.adr-reit.com/src/2017/03/f2ab5c7a08682271813e696791df2603.pdf

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アパートの運営管理が分かる

はじめに、説明会資料の5ページからは、内部成長という内容になっていますが、これは投資法人が現在保有している物件の運営管理に関することの項目です。不動産投資では、新しく物件を購入する外部成長といった観点もありますが、なにより既存の物件を安定して運営することが大切です。

既存物件を順調に運営することができなければ、新たに物件を購入しても早晩運営が立ち行かなくなるはずです。また、どのような物件であっても、常に満室ということはありません。いつかは必ず退去が発生し、修繕も必要になるはずです。こうしたこともあらかじめ想定しておいた方がよいでしょう。

想定稼働率

そのうえで、説明会資料の7ページには、参考となるデータが載っています。下段左側にあるのは、期中平均稼働率ですが、最新の数値は、96.5%となっていますね。ここから分かるのは、投資法人が保有する物件ですら、稼働率が100%になっていないということです。

これは、今よりもまだ不景気であった2011年においても、稼働率が95.7%となっており、思ったより開きがないなと思われたことでしょう。このあたりは、築年数にもよりますが、想定稼働率は、少なくとも、90%程度でみておかないと難しいだろうということが理解できます。

平均入居期間

また、さらに平均入居期間(月)というデータも載っています。最新のデータでは、2017/1期で53.0月となっており、これは、4年5か月ですが、一方で、2016/7期には、43.2月ということで、3年6か月です。

これは、退去の多い2~3月を含んでいることの違いですが、平均すると、だいたい4年経つかどうかで退去していることがイメージでき、特に2~3月といった年度替わりには、退去が発生しやすいことが分かると思います。

もちろん単身物件よりもファミリー物件の方が入居期間が長い傾向にはありますが、こうしたことを想定して、アパートやマンションを購入するにあたってのシミュレーションをしていく必要があるということになります。

このことから、さらに具体的に言うなれば、年間の賃料収入は、満室で稼働した場合の9割を見込み(物件によってはさらに低く7~8割)、各部屋4年に1度は、修繕工事のための費用が発生するという前提で、収支予想を作成するということが一つの考え方です。

さて、こうした稼働率や入居期間の想定のほかに、もう一つとても大切なことは、賃料水準をどのように想定し、どのように維持していくかということです。


賃料水準と経年劣化との闘い

8ページには、今後の賃料動向という資料が掲載されています。緩やかなダウントレンドに抵抗しているようなグラフが載っていると思います。そして、さらに長期で考えたときには、やはり徐々に下がっていくというものが通常です。

建物は、時が経つにつれ、徐々に傷んでいき、古くなっていきます。これを経年劣化といいますが、この劣化に伴い、大なり小なり賃料も下げていくことになります。

これは、リート投資家が忘れがちなことですが、不動産投資では、収入は年々減少し続けるのが基本であり、この流れは、現物不動産投資であってもリートであっても同じことです。

Jリートの場合、何らかのハプニングがない限り、増配となることがもはやコンセンサスとなっているくらいですが、この増配にするために、投資法人では、こうした経年劣化に対して、バリューアップ工事(いわゆるリノベーション。仕様変更や間取り変更を伴う工事のこと。)を行ったり、募集経費を増やして、賃料をなんとか維持しようということをやるわけです。

これは、個人として、現物不動産を取得して運営する場合においても、何ら変わるところではありません。

賃料水準維持のための戦略(バリューアップ工事)

ですが、空き部屋すべてにバリューアップ工事を施してもすぐに投入資金回収できるわけではありません。投資額に対する回収が遅くなればなるほど、キャッシュアウトの危険性(リートの場合は、減配)が伴います。

そのため、バリューアップ工事する部屋と通常の原状回復工事とする部屋を組み合わせながら検討していく必要があるわけです。

説明会資料9ページに掲載されている棒グラフは、上記のことを説明しています。下段のグラフにあるCapexとは、資本的支出を差し、この資本的支出は、通常の原状回復工事とは異なり、当該年度に100%費用計上せず、建物と同様に減価償却費として費用計上されていくことになります。

このように会計上のことも考慮しながら、どのように工事を組み合わせていくのかを検討していきます。なぜなら、こうした会計上のことは、税金をいくら支払うことになるのかという税務上の計算にも大いに関係してくるからですね。

【大家業とリート】不動産投資の重要要素「減価償却」。リート投資家と大家さんでは、スタンスが大違いな理由。

なお、説明会資料の6ページには、実際の賃料の増減実績がグラフによって示されています。入替と更新と書いてありますが、入替は、入退去のことであり、更新は、契約期間の更新のことを言います。

入替時の賃料は、2015/7期から上昇し始めていますね。これは、単純に景気が良くなったからということではなさそうです。2015/7期では、VU工事(バリューアップ工事)ありが13.9%含まれており、以降1割以上の退去居室に対して実施されています。

このことから、賃料を上昇させるために、一定の工事費用が投入されているということになります。


賃料水準維持のための戦略(募集管理費用)

次に、7ページの下段右側に掲載されている募集管理費用に目線を移してみましょう。募集経費は、仲介ショップに賃貸募集の依頼をし、入居となった場合に支払う媒介費用と広告料です。最新の2017/1期では、1.62月分となっていますが、これは、月額賃料の平均1.62月分の経費を仲介ショップに支払ったということです。

入居付けは、居室の力(家賃、設備、立地など)×仲介ショップの力というところがありますので、バリューアップ工事を行うことや仲介ショップに多めの募集経費を支払うかといったバランスを考えながら、入居付けを進めていく必要があるのです。

居室の力が強ければ、募集経費をあまりかけなくても、入居申し込みが簡単に入ることもありますし、居室の力が弱くても、仲介ショップに多めの募集経費を支払えば、お客さんをたくさん案内してもらえるという具合ですね。

ちなみに、この投資法人の場合では、2015/7期からバリューアップ工事を増やしていますが、募集経費も同じような水準で支払っています。賃貸市場が厳しいという見方もありますし、投資法人が早期入居を徹底しているという見方もあります。

また、同じ7ページの上段にもあるように、2015/1期から賃料増減率が上昇していますが、賃料を上げた状態で入居してもらうために、バリューアップ工事をし、募集経費も水準を落とさず支払い続けているという見方もできるのです。

空いて埋めるの繰り返しの中で

アパートやマンションなどの不動産経営は、結局のところ、退去して空いた部屋を直し、新たに入居者を募集して入居してもらい、また退去することの繰り返しです。

こうした繰り返しの中で、いかに顧客である入居者の生活環境を維持し、満足を得るかということが現物不動産投資の生業であり、社会的な役割と言えましょう。

大家になったら、居室の修繕にどの程度費用をかけるか、どの程度の募集経費を支払うか、どの程度の賃料に設定するかといったことをいつも考え続けることになります。

このようなことは、投資法人であっても、個人の大家であっても本質的には、何ら変わるところのないものですから、投資法人の作成している決算説明会資料を少し意識して読むことができれば、現物不動産投資をよりリアルにイメージすることができるのではないかと思います。

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