Real Estate Investment Trust
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今回は、「日本賃貸住宅投資法人(8986)、日の丸賃貸ビジネスたちの船出と終焉。」の前回の続きです。

スポンサーの破綻で残された投資法人はどうなったんだろう。

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日の丸に代わって登場したアップル外資たち

さて、当時のリート市場は、とにかく混乱をしていました。以下の記事は、リプラス破綻報道の2日後の記事です。

外資系資金引き揚げ REITはもうダメなのか(J-castニュース)
https://news.infoseek.co.jp/article/20080926jcast2008227541/

リプラス・レジデンシャルは前日比8.59%下落の17万100円で取引を終えた。大幅に下げた銘柄は、ジョイント・リート投資法人が同8.25%下落して21万6700円、日本ホテルファンド投資法人が7.83%下がり25万1600円だった。(2008.9.26)

スポンサーを失ったリプラス・レジデンシャル投資法人でしたが、リプラスが破綻する1か月前から、アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィ及びリンゴ・レジデンシャル特定目的会社に対して第三者割当増資を行うとともに、アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィによる国内リートに対する初のTOBを実施することとなっておりました。

また、資産運用会社の35%の株式をアップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィが取得するとのリリースもあり、リプラスが破綻する前から、すでに横文字軍団がリプラス・レジデンシャル投資法人の周辺を取り囲んでいたのです。

横文字軍団の正体

この聞きなれないアップルリンゴですが、その取得の際のリリースでは、オーシーエム・ネダーランド・オポチュニティーズ・コーペラティブ・ユーエーが100%出資する投資ビークルとされ、さらにオーシーエムなんとかというのは、オークツリー・キャピタル・マネジメント・エルピーより助言を受ける投資主体と説明されています。

また、アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィ自体は、オランダに籍ありますが、オークツリーは、米国の投資会社です。オークツリーがオーシーエム・ネダーランド・オポチュニティーズ・コーペラティブ・ユーエーというファンドを作って、そのファンドがリプラス・レジデンシャル投資法人やその資産運用会社の投資口と株式を取得するために作られた投資体がアップルリンゴなんですね。

ちなみに、名称の最後にあるユーエー(U.A.)とかビー・ヴィ(B.V.)って格好つけているのかと思ってしまいますが、U.A.というのは、uitsluiting van aansprakelijkheidの略で、オランダの協同組合法で定める共同組合(コーペラティブ)の組合員が責任を負わないという責任の態様を示しています。また、B.V.は、besloten vennootschapの略で、オランダの会社法でいう株式非公開型の有限責任会社という意味だそうです。そういうのが分かれば、多少は得体の知れなさが減少してホッとしますね。

多分この構造は、GK-TKスキームのオランダ版ではないでしょうか。違っていたらすみません。あと、エルピー(L.P.)は、Limited Partnershipの逆で、有限責任組合といい、米国などで認められている企業形態の一つです。

それにしても、このよくわからない横文字の集合体たちが傾いた投資法人を拾いに来る感じには、恐怖すら感じませんか。そうはいっても、投資法人の投資家としては、これらの横文字たちに願いをかけるか、投資口を売却するほかないわけです。

実際、大規模な第三者増資が行われ、分配金も半減しますわというリリースが流れる中で、TOBに応じる個人投資家は多かったとか。

国内リートに対する初のTOBは、2008年だったんだよ。ココはテストに出ます。



 

リプラスから横文字軍団オークツリーへ

この後引き続き、アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィは、リプラス・レジデンシャル投資法人の投資口の公開買い付けを進めたり、アップルリンゴ・インベストメンツ・ビー・ヴィというちょっと兄弟みたいなのも出てきて、資産運用会社の第2位の株主になったりしています。

そして、リプラスの破綻とともに、アップルリンゴ・インベストメンツ・ビー・ヴィが筆頭株主になったのです。ですので、リプラスが破綻する前から着々と引き渡す準備が始められていたわけです。これは誰がアレンジして進めたのでしょうか。

実のところ、リプラスは、家賃保証会社を切り離すことで、ぎりぎりまで、生き残りを模索していたそうですが、10月1日に償還を迎える債権のめどが立たず、破綻となったといわれています。

横文字軍団の黒幕

ちなみに、これらの横文字軍団の黒幕にいるのがオークツリー・キャピタル・マネジメント・エルピーですが、これを間接的に統制するのがオークツリー・キャピタル・グループ・エルエルシーであり、投資商品への運営・助言を行う業界大手として、米国ニューヨーク証券取引所に上場されています。

試しに、オークツリーで検索していたただくと日本の様々な会社に絡んでいることが分かるかと思います。その日本法人であるオークツリー・ジャパン(株)は、以前からJリートに強い関心を持っていたようです。

横文字軍団の黒幕は、オークツリー・キャピタル・グループ・エルエルシーといえども、オークツリー・ジャパン(株)の中村博・代表取締役がキーパーソンだと言われています。

実際、リプラスの社長が破産手続きに行く際に、中村社長にこれから逝ってきますと電話したらしいですね。

ですが、オークツリー側としては、いったん大口の投資口主になり、投資法人の運用までは、取りにはいかないかもしれないという観測が当時ありました。リプラスが破綻していなければ、オークツリー傘下でリプラス運用が続いていたかもしれませんね。このあたりは、余分な想像です。

当時の投資家の心境は、横文字軍団の黒船襲来で、どうなる日本の投資法人といった感じだったんだ。

リプラスはどうなった

ちなみに、破綻したリプラスの家賃保証事業ですが、当時の会社名で株式会社デジタルチェック、現株式会社メタップスペイメントの子会社であるレントゴー保証株式会社が事業を継承しています。レントゴー保証株式会社は、2008年に出来ていますので、リプラス破綻の翌月に設立されていますね。

現在は、レントゴー保証株式会社から株式会社Casaと名を変えて、大家さんにはお馴染みの家賃保証会社として存続しています。レントゴー保証株式会社、株式会社Casaの代表、宮地正剛氏は、もともとリプラスの人です。

 

プロスペクトとの合併

さて、リプラスが破綻し、新たな年を迎えた1月に、リプラス・レジデンシャル投資法人は、日本賃貸住宅投資法人へと商号を変更しています。横文字軍団がバックにいる割には、とても日本語な投資法人名でした。

そんな商号変更から半年、プロスペクト・リート投資法人との合併がリリースされました。プロスペクト・リート投資法人は、2009年に商号変更するまでは、プロスペクト・レジデンシャル投資法人という名称で、その名のとおり、住居系リートでした。

ちなみに、プロスペクト・レジデンシャル投資法人は、2005年に上場された、(株)旧プロスペクトが100%出資するプロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ(株)が資産運用会社でした。そのトップは、米プロスペクト・アセット・マネジメントを率いるカーティス・フリーズ氏です。

暴れん坊のプロスペクト

(株)旧プロスペクトのカーティス・フリーズ氏は、2007年に、自身が提案した経営権譲渡要請を無視されたことに腹を立ててというのは、あくまで観測ですが、当時大投資口主であったFCレジデンシャル投資法人の保有割合が56%を超えるまで投資口を買い進め、法人税を実質課税しない「導管性」という50%ルールに反するといった事件を起こしています。

このことは、いちごホテルリート投資法人(3463)、いちごオフィスリート投資法人(8975)の記事にも出てきた通りで、当時はこれだから外資は、と投資家界隈などからため息がもれたものです。

【REIT今昔物語】リーマンとともに現れたいちご系投資法人(8975,3463,9282)達は、何処へ行く。

ちなみに、(株)旧プロスペクトは、2007年1月の報道によると、FCレジデンシャル投資法人の株式約32%、クレッシェンド投資法人27%を昨年11─12月に取得したほか、東京グロースリート投資法人、アドバンス・レジデンス投資法人、MIDリート投資法人、ニューシティレジデンス投資法人など約10銘柄の5─20%程度を購入とあります。

上記のうち、現在、そのまま生きているのは、1投資法人しかないとは、恐ろしい限りですから、そのような投資法人の投資口をたくさん保有していたんですね。

今もある(株)プロスペクト

なお、現存する(株)プロスペクトは、カーティス・フリーズを会長とする不動産売買・賃貸の事業と営む会社です。そのホームページには、創立80周年となりますが、現在の中身は、カロリナ株式会社からかろりーな株式会社となり、1991年に大京グループ入りし、2001年に株式会社グローベルスと商号変更、2007年から、(株)プロスペクトが株式会社グローベルスの筆頭株主になったという流れです。

ですから、ひとえに創立80周年といいましても、現プロスペクト体制は、2007年からであり、ここからが新プロスペクトといえますが、このプロスペクトの顔はいわば表舞台的なものかもしれません。

当時の報道では、以下のような題名で記事が書かれています。超コワいですね。

不動産再編の黒衣 プロスペクトの素顔(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/1909

現在でも、プロスペクト・アセット・マネジメントという株主名は、日本株のいろんなところに出てきます。次の機会をまだまだ狙っているのでしょうか。

そして合併

さて、だいぶ脱線しましたが、結局のところ、プロスペクト・リート投資法人は、2010年、日本賃貸住宅投資法人(8986)と合併することとなりました。当時外資系のリートは、金融機関とのリファイナンスに苦慮している様子があり、プロスペクト・リート投資法人も同様に苦しい状況にあったようです。

実際、プロスペクト・リート投資法人は、REITが発行する投資法人債の借り換え対策として設立された、いわゆる「官民ファンド」の利用第1号REITとなっていたのです。しかも、「官民ファンド」なのに、TIBOR(東京市場における銀行間取引金利)+4.98368%とかなりの高コストを負わされて、なんなんだよ、もう合併してやると思ったのかもしれません。

外資傘下から再びの日の丸へ

さて、日本賃貸住宅投資法人(8986)の資産運用会社の取締役にもなっていたオークツリー・ジャパン(株)の中村博・代表取締役が2013年に退任した翌年に、少しずつ事が動き始めます。

2014年11月に、株式会社大和証券グループ本社による株式30%の取得とのリリースが入りました。そして、さらにその翌年、68.1%の追加取得で、アップルリンゴたちに代わり、筆頭株主となったのです。

ここまでとても話が長かったですが、最後は、あっさりとメイドインジャパンに戻ることとなりました。

株式を株式会社大和証券に売り渡したオークツリーは、たらふく儲かったはずだよ。これぞ不動産ファンドだね。

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