Real Estate Investment Trust
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毎週土曜日には、【Jリート考】と称しまして、リート投資家の方が今後のリート相場を考える上での材料となりそうな記事などを紹介していきたいと思います。

今回は、NAV(Net Asset Value)を考えていきたいと思います。皆さんは、銘柄選びの際には、このNAV倍率というものをある程度参考にされていると思います。NAVは、NAV=REITの資産-REITの負債とされますが、100億のビルを持っていたとして、40億の借金をしていたとすれば、その差し引きである60億が純資産、つまりNAVです。そして、このREITの資産を時価で計算するのか、単なる会計上の簿価ベースで計算するのかで結果が異なります。

また、NAV倍率は、NAV倍率=投資口価格÷1口あたりのNAVと計算します。例えば、このREITが1万口の投資口であった場合、1口あたりのNAVは60億÷1万=6万円となります。現在の投資口価格が9万円だったとすると、NAV倍率=9万円(投資口価格)÷6万円(NAV)=1.5倍と計算します。

このNAV倍率は、より小さければより割安、より大きければより割高ということになりますので、NAV倍率=投資口価格÷1口あたりのNAVという式の中で、投資口価格が大きくなればなるほどNAV倍率は大きくなりますから、割高になります。一方で、先ほどのNAV(投資口価格÷1口あたりのNAVが大きくなればなるほど、1口あたりのNAVも大きくなって、NAV倍率は小さくなりますから、割安とされます。そして、通常この倍率が1.0を超えると割高、1.0を下回ると割安と言われることもあります。

前回、NOI利回りについて、取り上げましたが、併せて考えた場合、投資家にとっては、NAV倍率が小さくて、NOI利回りが大きい銘柄ほどお買い得ということになるわけです。

【Jリート考】現物不動産投資や日本ビルファンド投資法人(8951)の決算を見て、NOI利回りを考えてみよう。

それでは、実際に各銘柄のNAV倍率を見てみましょう。japan-reit.comでは、全銘柄のNAV倍率をランキングにしたデータが掲載されています。NAV倍率のすぐ横に配当利回りも示されていますから、とても便利ですね。

http://www.japan-reit.com/

ここで少し個別銘柄を見てみましょう。NOI利回りは計算するのが手間なので、ここでは配当利回りでひとまず考えていきます。

まず、グローバル・ワン不動産投資法人(8958)が0.77と最も低くなっていますが、配当利回りは3.07%とそんなに高くはありません。これは、NAV倍率=投資口価格÷1口あたりのNAVの分子が小さいか、分母が大きいかということで、投資口価格が割安に置かれているか、資産価値が高いかということが考えられますが、配当利回りが低いことを考慮すると、資産価値が高い割に収益を生み出していないということも考えられます。また、それを見越して、投資口価格が安く置かれているとも言えるのかもしれません。

次に、トップ2ですが、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)は、0.83のNAV倍率と配当利回り4.94%ということで、NAV倍率が低く、配当利回りが高いということで、割安になっているようです。この銘柄は、独立系資産運用会社であるインベスコ・グループに属する資産運用会社、つまり外資系ですね。リーマンの後も、まずはことごとく外資系が運用会社である銘柄を売られていましたから、そのあたりのことも含んでいるのかもしれません。加えて、ここ最近の急落により指数なりには売られているため、NAV倍率も上がっていますね。

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人について 【J-REIT投資の考え方】(マネックスコラム)

さて、その後も日本リート投資法人(3296)SIA不動産投資法人(3290)スターツプロシード投資法人(8979)と高利回り銘柄が続きますが、これは投資口価格低くなれば、NAV倍率も上昇しますし、配当利回りも同様ということになりますから、当然といえば当然です。

日本リート投資法人(3296)SIA不動産投資法人(3290)なんかは、NOI利回りとして見てみると、そこまで上位に来なかったりしますし、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(3298)は、スポンサーがなあ、と考えたり、もう少しNAV倍率が低いところで配当利回りと折り合う銘柄はないかなあというようなことを考えながら、銘柄を選定するという観点もあろうかと思います。

では、単純にNAV倍率も高い、配当利回りも高い、NOI利回りも高い、そんな銘柄があるのでしょうか。今のところすべてにおいて上位にいるのがスターツプロシード投資法人(8979)です。でもだからといって、明日この銘柄を買おうとはならないかもしれませんね。これは、実際、指標だけで見て、一番高いのを買うということでもないからでしょう。いろいろな判断がある中での1つの材料であります。

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