Real Estate Investment Trust
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リートでは、ポータルサイトや証券会社のホームページに表示されている分配金利回りは、見かけ上の利回りであり、本当の利回りは異なります。

つまり、一般に表示されている利回りは、本当の利回りではないので、必ずオリジナルデータで確認をした方がよいことになります。

ここでいうオリジナルデータとは、各投資法人のホームページに掲載されている最新の決算短信と決算説明会資料です。

今回のテーマは、本当の利回りを調べる方法だよ。

見かけ上の利回りと本当の利回りは違う?

証券会社のホームページや株探などの投資情報ページには、各リートの分配金の利回りが掲載されていますね。しかし、これはあくまで機械的に計算された利回りを表しているにすぎません。

以下の表をご覧ください。サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)について、SBI証券と株探に掲載されている2019年7月3日時点での利回りです。なお、同日の投資口価格は、113,000円です。

サイト名 SBI証券 株探
利回り 5.66% 6.59%

https://s.kabutan.jp/news/n201907030808/

ですが、当サイトでは、本当の利回りは、4.48%と考えています。SBI証券や株探だけを見ていると、買ってもいいかもと思うかもしれませんが、本当の利回りがもっと低いと考えられるのであれば、どうでしょうか。

もう少し他の事項も併せて慎重に考えようかということになりませんか? この場合の他の事項とは、私tisanでしたら、成長性でしょうか、要は実際の分配金がこの先物件取得などで上昇する見込みがあるかどうか、とかです。

法人の決算書を見ると分かる本当の利回り

さて、サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)のホームページに掲載されている決算説明会資料を見てみましょう。

https://www.samty-residential.com/file/term-b46b6f680fb4216e4255151c9801abf6c52cc38b.pdf

第8期(2019年7月期)及び第9期(2020年1月期)の業績予想があります。

(単位:百万円)
第7期 第8期 第9期
実績 予想 予想
営業収益 3,216 3,649 3,153
営業利益 1,609 1,848 1,440
経常利益 1,321 1,631 1,110
当期純利益 1,320 1,630 1,109
一口当たり分配金 3,076円 3,722円 2,672円

上記の計算書では、第8期の一口当たり分配金が急に増えていますね。また、営業収益もやはり急に増えています。そして、続く第9期では、また第7期と比較しても減額となる見込みとなっています。

こうした場合は、第8期に何らかの一時的な収入があったと考えましょう。その前提で、資料を眺めてみると、計算書と同じページに「不動産売却益の計上による一時的な収入の増加」との記載がありますね。

第8期は、不動産を売却したことによる一時的な収入があったのです。ということは、巡航分配金は、第9期をベースに考える必要があるということになります。

これが、この法人の分配金が6.60%でもなく、5.72%でもなく、4.8%であると考えることの流れです。

こんなに利回りが違ってくると、投資判断に大きな影響があるね。


分配金利回りランキングの仕組み

では、なぜ証券会社のホームページや株探などの投資情報ページでは、分配金が6.60%や5.72%と表示されるのでしょうか。

先ほどの計算書にある一口当たり分配金を振り返ると、第8期が3,722円とありましたね。株探の分配金利回りは、これが計算の基礎にあります。

3,722円×2期=7,444円÷111,800(投資口価格)=6.6%

また、SBI証券では、第8期と第9期の分配金をもとに計算されているようです。

(3,722円+2,672円)÷111,800(投資口価格)=5.72%

なぜこうなるのでしょうか。まず前提として、証券会社のホームページや株探などの投資情報ページでは、一定の時期にリリースされている数字を一律に機械的に当てはめて計算するということになります。

例えば、株探では、次期分配金を×2して利回りを出すということをしています。よって、物件の売却益が含まれているから、巡航分配金の基礎とはならない、といった判断をしていないわけです。

また、SBI証券では、発表されている最大の情報である次期と次々期の予想分配金を使って利回りを算出しています。先ほどの株探と同様に、物件の売却益といった要素を除いて算出するといった作業をSBI証券の社員が一つ一つ作業すればと思いますが、たくさんの銘柄がある中で、すべてを対応するのは、それこそAIでなければ難しいでしょう。

まとめ

  • 一般の証券会社や情報サイトの利回り情報は、あくまでとっかかりとして使用する。
  • 各投資法人がリリースしている決算書を見て自分で計算する。
  • 収益を左右する一時的な要因に注意。
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