リートを購入するときに、どんな理由で銘柄を選ぶかは、人によってそれぞれだと思いますが、初めてリートを買う場合には、まず何を参考にすればよいかわからないと思います。
そんなときは、他の人がどんな選び方をしているのかをまず聞いて、自分がいいなと思った方法に自分なりのやり方を少しずつ加えていくのが一番の近道です。

今回は、初めてリートに投資する人向けに、わたしtisanが購入するリートの銘柄を選ぶ際の一つのやり方をご紹介します。
最初にやること
皆さんがリートに期待することは、なんでしょうか。中には、キャピタルゲインを狙う人もいるかもしれませんが、多くの方は、分配金によるインカムゲインを期待するのではないでしょうか。
通常、一般の株式にも投資されている方がほとんどだと思いますが、一般の株式では、一定のキャピタルゲインを狙い、リートには、インカムゲインを受ける手段として、そのことで、全体的なリスクバランスを取ろうとする方も少なくないと思います。
ですから、リートの銘柄選択をする場合には、まずどの程度のインカムゲイン(利回り)を狙っていくのか、を考えることから始めましょう。
分配金利回り
分配金利回りの確認は、お使いの証券会社のホームページに一覧があれば、よいですし、なければ、ポータルサイトのjapan-reitで確認しましょう。
ここでの注意点は、一覧はあくまで直近でリリースされている分配金に基づいているということです。ときには、物件を売却するなど、一時的な分配金の増額も含まれています。
こうした場合には、巡航分配金は、もっと低い可能性がありますので、これだと思った銘柄については、ぜひ個別の投資法人のホームページに行って、なぜ利回りが高いのかを調べてみましょう。
特に、掲載されている決算説明会資料を読んでみると、その分配金が高くなった理由も書いてありますので、これが一時的なものなのか確認をしてみる必要があります。
慣れないうちは、少し面倒かもしれませんが、当サイトのトップでは、好配当銘柄を中心に補正後の予想利回りを掲載していますので、ご参考ください。

利回りの高い銘柄は、一般的に何らかのリスクがあるはずですが、そのリスクが自分にとって、受け入れ可能、回避可能なものかどうかで購入の判断の一材料にしましょう。
最初に確認したい指標
リートの銘柄選定に役立つ指標は、いくつかあるのですが、まず確認したいのは、NAV(Net Asset Value)です。
NAVは、投資法人が保有している不動産の資産価値をいいます。この資産価値と市場で取引されている市場価値を比較したものをNAV倍率といいます。
資産価値(NAV)>市場価値(投資口価格) 割安!
資産価値(NAV)<市場価値(投資口価格) 割高、、、
となるのは分かりますでしょうか。NAVは、割安な、市場から評価を低く受けている銘柄を探すときの一つの指標になるのです。
つまり、1口あたりの投資口価格を1口あたりのNAVで割ったNAV倍率が
1未満 割安かも
1以上 割高かも
となります。このことを覚えたうえで、このNAV倍率は、japan-reitで一覧できますので、ご参考ください。
http://www.japan-reit.com/ranking/all#navr
株式におけるPBR(株価純資産倍率)に似た指標といった方が分かりやすい人もいるでしょうか。なお、このNAVのことをもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。

他にもまだ指標はあるのですが、そういった数々の指標を併せてみていくのは、リート投資に慣れていった後でもいいですよ。
投資法人の運用スタンス
さて、ここまで分配金利回りとNAVのことを説明してきましたが、では、この2つの要素を組み合わせて、銘柄を購入してもいいですかと聞かれるでしょう。
それに対しては、とりあえず、投資してみてリート投資にふれるという趣旨で、小額から買ってみてはいかがでしょうかと答えます。そして、その前に、少し時間に余裕があれば、狙いを定めた投資法人のことを少し調べておきましょう。
実際、わたしtisanは、投資法人が誠実な運用をする会社かどうか、という点を指標と同じくらい重視しています。
そんなのどうやってわかるの、と思うかもしれません。手掛かりになるのは、投資法人の過去のリリースやインターネット検索などです。その際、最初に我々が気にしておきたいポイントがいくつかありますので、ご参考ください。
・決算説明会資料が読みやすく作成されているか
これが出来ていない投資法人は、投資家に説明をする気がそもそもありません。
・大規模増資などにより、分配金を平気で減少させる姿勢がないか
これはリートに投資する個人投資口主の期待するポイントを理解していないということなので、少なくとも個人投資家向けの銘柄ではありません。
・スポンサーの物件を押し込まれていることはないか
資産運用会社の大株主であるスポンサーの物件を高値で買わされていると、大規模増資した割には、たいして分配金が上がらないといったこともあります。スポンサーの物件を投資法人が購入すること自体は、仕組み上よくあることですが、このことによって、ちゃんと分配金が投資家に還元されていることが大切です。
もちろん、上に掲げたこれらのことは、ちょっと投資法人のリリースを見ただけで、わかるわけでもありませんが、例えば、その投資法人の投資口主になってみれば、興味をもって継続的にその投資法人の動きを追うことができるのではないでしょうか。
継続的にウォッチする中で、もし疑問が湧いたら、売却を検討しましょう。

JリートファンやJリートフェアなどのリート各社の職員に直接会える機会も活用するといいかも。
全体の傾向もつかむ
最後に、東証リート指数の推移も常に追っておきましょう。全体が下がっているときには、いかに良い銘柄でもつられて下がるものです。
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/real_index&QCODE=155
もう一つ、リートは、様々な種類の不動産に投資をしています。ざっと並べるだけでも、オフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテルといった具合です。これらのうち、どれかに特化して投資をしている法人もありますが、複数の種類の不動産に投資をしている投資法人もあります。
大まかな傾向として、業績に有利だと言われているのは、以下のようです。
不景気 住居>物流施設=商業施設>オフィス>ホテル
好景気 ホテル>オフィス>物流施設=商業施設>住居
値動きの大きさも比較的ホテル系やオフィス系の銘柄は大き目である傾向があります。
そして、まだリートに投資をしたことのない方が一番イメージしやすいのは、マンションを保有して運営する住居系のリートだと思いますので、そこから初めてみるのもいいのではないでしょうか。
- 最初に、だいたいでもいいので、目標とする利回りを考えましょう。
- 各銘柄の分配金利回りとNAV倍率を総覧してみましょう。
- 気になった銘柄のホームページを見て、決算説明会資料やリリースを見てみましょう。
- 銘柄に関心を持つために、小額から購入してみるのも一手です。
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