Real Estate Investment Trust
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1物4価といって、よく不動産には、1つの土地に4つの価格が付くと言われます。公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額ですね。これらは、それぞれ国やら地方自治体が目的をもって算出している値ですから、様々あるわけです。

リートの場合も、ひとえに不動産の価格といったときに、いくつか意味の異なる価格があります。それぞれの投資法人の業績レポートなどを読む際に、その場合の不動産の価格がどういった意味で使われているのかを理解していると、全体の流れも理解しやすく読み進めることができるかと思います。

今回は、3種類の不動産の価格について、説明をしていきたいと思います。

不動産の価格の3種類とは

リートにおいてよく使われる不動産の価格には、取得価格、帳簿価額、鑑定評価額があります。

○ 取得価格

○ 簿価(帳簿価額)

○ 鑑定評価額

よく簿価NOIとか、鑑定NOIとか言われますが、これらの違いは何でしょうか。それぞれ不動産の価格の算出方法が異なるのです。

取得価格とは

まず取得価格は、単純に不動産を取得した際の価格です。皆さん不動産をお持ちの場合は、いくらで購入されましたでしょうか。それが取得価格です。

例えば、家を100万で購入したとすれば、それが取得価格なんですね。当たり前過ぎますね。

価格と価額の違い

では、よく取得価格と取得価額は違うなんて言われますが、これはどういう意味でしょうか。この両者は、似て非なるものでもあります。英語で表した方がたぶん分かりやすいと思います。

価格 Price

価額 Value

価格は、お値段ですから、100万円ですと、売り手が決めれば、それが価格になりますね。それに対して、買い手がいるわけですから、その時点で価格は決定します。この場合は、後にも先にも価格は100万です。

一方で、価額は、そのものの価値です。よくバリューがあるね、なんて言われ方をすることもありますが、100万という価格が付いていても、それをいくらで評価するかは異なるわけですね。

100万だ何だって言ってたけど、結局いろいろと諸費用かかってさあ、120万はかかったかなあ。だから120万分の価値はあるよ。

みたいな会話で言っているときの120万は、取得価額です。イメージが湧きましたでしょうか?

簿価(帳簿価額)とは

取得価格と取得価額の違いが分かりましたら、簿価(帳簿価額)はすぐに理解できるかと思います。簿価は、帳簿「価額」と言われますが、「価額」ですから、評価です。

つまり、取得した不動産を帳簿上いくらというように、価値を評価して計上した金額を帳簿価額といいます。

皆さんは、不動産を帳簿価額に計上したことはありますか? 勤務先で経理や大家さんをやられている方であれば、そうです、日々の仕事で、もしくは毎年何気なくやられている確定申告で、この前取得した土地がいくらでというふうに仕訳をしていたあの作業が帳簿価額なんですね。

取得価格→取得価額

例えば、建物を100万で取得したとしましょう。この場合の取得価格は100万でしたでしょうが、取得価額は、いくらでしょうか。通常、100万の建物を買うときには、100万では買えませんね。不動産の仲介さんにいくら、調査費や測量費にいくらとか、さらに20万くらいかかっていてもおかしくはありません。

ですから、建物の取得価格は、100万だったけど、結局、取得価額は120万ということは、普通にあります。この場合、会計上の帳簿には、100万ではなく、120万を計上するのですね。

結果、

取得価格 100万

帳簿価額 120万

ということになります。

簿価(帳簿価格)のうち建物等は、減少していくもの

建物などの取得価格は、ずっと100万のままですが、簿価(帳簿価格)は、変化するものだということも知っておきましょう。これは、年々減価償却によって、減じられていくからですね。

一方で、土地には減価償却がありませんので、土地の簿価は、ずっと変わらないことになります。

鑑定評価額

鑑定評価額は、法律上、「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」と言われています。具体的には、不動産鑑定士という専門資格を持った者が不動産の価格を評価するのです。

ですから、先ほどの例で、すごく単純に表現すると、

おお、これはすごいですね、150万!

とか、

うーむ、これは80万くらいの価値しか出ませんでしたよ。

なんてこともあり得るわけです。実際には、細かい計算や評価を加えて算出するので、上記のような軽いノリではありませんが。

まとめ

取得価格というのは、いわば売り手が売りたい価格です。実際は、路線価や固定資産税評価額などのお国が出している価格やその地域の取引実績なんかを加味して、いくらで売ろうかということになるので、まったくの言い値では売れないのですが、少なくとも売り手がいろいろ考えて売りたい金額です。

そして、帳簿価額も一定その取得価格をもとに、評価されます。

ですから、そのような取得価格や帳簿価額のほかに、専門の資格を持った第三者が評価した不動産価格も必要になり、それが鑑定評価額なんですね。

業績レポートなどを読む際に

リートでは、このようにひとえに不動産の価格といっても意味が異なるのです。リートの業績レポートなどを読む際には、不動産の価格や価格が元となった数値が出てきます。これは何の価格だろうかということをその都度考えながら、読み進めてみましょう。

例えば、賃貸事業収益から賃貸事業費用を差し引いた額をNOI(賃貸NOI)といいますが、これを取得価格で割ったものをNOI利回り(賃貸NOI利回り)といいます。

【リートの基本】本業は燃えているか? 本業の収益力をはかるNOI利回り。

ですが、NOIを不動産鑑定士が不動産鑑定評価の中で想定して算出したNOI(鑑定NOI)を取得価格で割ったものは、鑑定NOI利回りといいます。また、さらにこれを取得価格ではなく、簿価で割った場合は、簿価NOI利回りと言われます。

取得価格と簿価は、異なることが多いので、利回りの結果も微妙に差が出てくるのです。

このように、どの不動産の価格をもとに算出した指標かということにより、結果も異なってくるため、例えば、複数の投資法人のレポートの指標を比べる際には、同じ要素で計算された指標を並べる必要が出てくるのです。

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